首先に天文台をつけて

 

首先に天文台をつけて
風船のひもを握って
9さいの僕はT字路を見つけるたびに
左へ曲がった

側溝蓋の上を歩くことで
僕は死んだ父さんの加護を得た
母さんは見守ってくれていた
弟たちも
見守っていた
別の意味で

迷子になったと気づくまでの
迷子じゃない時間が
これからもつづくといいな

成長線が向かう方向へ
熱さを失った10月の太陽は
垂直落下していき

僕は
ゆっくりと
涙を流し始めた