ノーベル文学賞をどれくらい読んでいるのか? 4

 

過去


1970年代
肖像 受賞者 国籍 ジャンル 備考
1970年 Aleksandr Solzhenitsyn 1974crop.jpg アレクサンドル・ソルジェニーツィン ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦 小説  
1971年 Pablo Neruda.jpg パブロ・ネルーダ  チリ チリ人として2人目の受賞者
1972年 Bundesarchiv B 145 Bild-F062164-0004, Bonn, Heinrich Böll.jpg ハインリヒ・ベル 西ドイツの旗 西ドイツ 小説  
1973年 Patrick White 1973.jpg パトリック・ホワイト オーストラリアの旗 オーストラリア 小説 オーストラリア人初の受賞者
1974年 Eyvind.JPG エイヴィンド・ユーンソン  スウェーデン 小説 ハリー・マーティンソンと共に受賞
Harry Martinson 001.tiff ハリー・マーティンソン  スウェーデン エイヴィンド・ユーンソンと共に受賞
1975年 Eugenio Montale.jpg エウジェーニオ・モンターレ イタリアの旗 イタリア  
1976年   ソール・ベロー アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 小説  
1977年 Vicentealeixandre.jpg ビセンテ・アレイクサンドレ スペインの旗 スペイン  
1978年 Isaac Bashevis Singer (upright).jpg アイザック・バシェヴィス・シンガー アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 小説 イディッシュ語での著作
1979年 Odysseas Elytis 1974.jpg オデッセアス・エリティス ギリシャの旗 ギリシャ ギリシャ人として2人目の受賞者

 1970年代は厳しい。やっぱりノーベル賞なだけあって、ソルジェニーツィンネルーダ、ソール・ベローといった重要な作家がならんでいるが、重要な作家ほど読みにくいのは世の常である。ぜんぜん知らない名前も当然のようにある。

 この世代に知っている作家はいないし、直近で読んでみようという気になる作家もいない。これまでのところ、読んでいるノーベル賞作家は10名で据え置きである。

 

1980年代​
肖像 受賞者 国籍 ジャンル 備考
1980年 Czeslaw Milosz 3 ap.tif チェスワフ・ミウォシュ ポーランドの旗 ポーランド人民共和国 ポーランド人として3人目の受賞者
1981年 Elias Canetti 2.jpg エリアス・カネッティ ブルガリアの旗 ブルガリア 小説 ブルガリア人初の受賞者
ドイツ語での著作
1982年 Gabriel Garcia Marquez.jpg ガブリエル・ガルシア=マルケス  コロンビア 小説 コロンビア人初の受賞者
1983年 William Golding 1983.jpg ウィリアム・ゴールディング イギリスの旗 イギリス 小説  
1984年 Jaroslav Seifert 1981 foto Hana Hamplová.jpg ヤロスラフ・サイフェルト チェコスロバキアの旗 チェコスロバキア チェコ人初の受賞者
チェコ語での著作
1985年 Claude Simon 1967.jpg クロード・シモン フランスの旗 フランス 小説  
1986年 WoleSoyinka2015.jpg ウォーレ・ショインカ ナイジェリアの旗 ナイジェリア 戯曲 英語での著作。ナイジェリア人初の受賞者
アフリカ人初の受賞者
黒人初の受賞者
アメリカに亡命
1987年 Joseph Brodsky 1988.jpg ヨシフ・ブロツキー ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦  
1988年 Necip Mahfuz.jpg ナギーブ・マフフーズ  エジプト 小説 エジプト人初の受賞者
アラブ圏初の受賞者
1989年 Camilo José Cela Madrid 1996.jpg カミーロ・ホセ・セラ スペインの旗 スペイン 小説

 順にみていこう。1980年のチェスワフ・ミウォシュはなんと読んだことがあるんですね。名前に聞き覚えがあって、個人的な読書メモを検索してみたら『世界 ポエマ・ナイヴネ』という本を読んでいた。たしかに読んだ記憶がある。まさかノーベル賞を取っているくらい偉い人だったとは…。

 1981年のエリアス・カネッティは『マラケシュの声』という旅行記(?)のような本を読んだ。82年のガルシア=マルケスは『百年の孤独』他いくつかの作品を読んでいる。そこから先は読んだことのないひとが続く。89年のカミーロ・ホセ・セラは『サッカーと11の寓話』を読んでいた。これはノーベル賞作家の正直手遊びみたいな本で、カウントするのに若干のためらいはあるが、一冊は一冊である。これで14名。

 

1990年代
肖像 受賞者 国籍 ジャンル 備考
1990年 Paz0.jpg オクタビオ・パス メキシコの旗 メキシコ 詩・評論 メキシコ人初の受賞者
1991年 Nadine Gordimer 01.JPG ナディン・ゴーディマー 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国 小説 南アフリカ人初の受賞者
英語での著作
1992年 Derek Walcott.jpg デレック・ウォルコット セントルシアの旗 セントルシア セントルシア人初の受賞者
カリブ海諸国初の受賞者
1993年 ToniMorrison WestPointLecture 2013.jpg トニ・モリソン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 小説  
1994年 Paris - Salon du livre 2012 - Kenzaburō Ōe - 003.jpg 大江健三郎 日本の旗 日本 小説 日本人として2人目の受賞者
1995年 Seamus Heaney Photograph Edit.jpg シェイマス・ヒーニー アイルランドの旗 アイルランド 英語での著作
1996年 Wisława Szymborska 2009.10.23 (1).jpg ヴィスワヴァ・シンボルスカ ポーランドの旗 ポーランド  
1997年 Dario Fo-Cesena.jpg ダリオ・フォ イタリアの旗 イタリア 戯曲  
1998年 JSJoseSaramago.jpg ジョゼ・サラマーゴ ポルトガルの旗 ポルトガル 小説 ポルトガル人初の受賞者
1999年 Günter Grass, 2004.jpg ギュンター・グラス ドイツの旗 ドイツ 小説  

 さっき一冊は一冊だと書いたが、これが逆に効いてくる。1991年のナディン・ゴーディマーはアンソロジーで読んだことがあるのだが、今回は一冊読み切ったものを対象とすることにする。もったいない。

 ただそれを除いても、オクタビオ・パス、トニ・モリスン、大江健三郎ヴィスワヴァ・シンボルスカジョゼ・サラマーゴギュンター・グラスの著作は読んでいて、めずらしくどれも大好きである。これで20名だ。

 

白の闇 新装版

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ある男が、突然失明した。それは原因不明のまま次々と周囲に伝染していった。事態を重く見た政府は、感染患者を隔離しはじめる。介助者のいない収容所のなかで人々は秩序を失い、やがて汚辱の世界にまみれていく。しかし、そこにはたったひとりだけ目が見える女性が紛れ込んでいた……。

 

 ひとりの一冊を薦めるとしたらジョゼ・サラマーゴの『白の闇』でしょう。これはもう文学賞とかそれ以前にシンプルに読み物として面白い。

 

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