短歌 48

 

6月に誕生日がありどの年齢としも最後に過ごす季節は春だ

 

 

まぼろしの僕の息子が会いに来る湯気の立つ童貞クリスマス

 

 

根腐れをおこしてるけどサボテンは好きだよ寮の相部屋の窓

 

 

取り壊しのために退去が決まり 秋 虚無ほど柔らかいものはない

 

 

「ひどいことするのやめないで」と食べもしない料理作れば思う土曜日

 

 

団地から桃の匂いの夕暮れを取り上げたいと僕らは思う

 

 

歳をとり夢見のない夜も多くなりいまでもたまに深酒をする