東尋坊〜雄島

 

 福井市から北にちょっと行ったところにある芦原温泉という温泉地に宿をとって、そこからさらに北西にある東尋坊を訪れることにした。

 

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 こんな感じ。「柱状節理」という、ナルトに出てくる用語のような言葉で表される割れかたをした岩壁に、日本海が打ち寄せて波が砕ける、というダイナミックな光景が見られることで有名な場所である。「とある行為」で有名な場所でもあり、僕もそれで名前を知っていたのだけど、最近ではそのイメージも薄れてきているらしい。

 

 その東尋坊へ、芦原温泉の側からバスで向かうと、ひとつ手前のバス停に不思議な光景が広がっている。

 

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 離島にかかっていく紅の橋と、向こうに見える鳥居。満員のバス。なかで交わされる会話を聞く感じ、僕以外にも気になっていたひとは多かったようなので、代表して僕が「止まります」ボタンを押してみたのだけど、結局降りたのは僕ひとりだけだった。つぎのバスは1時間後にしかこない。

 

 

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 雄島というらしい。青い日本海にかかる赤い橋を渡って島の鳥居に近づいていくと、すこしずつ聖なる気分になってくる。

 

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 島には学習パネルが建っていて、雄島の地理学的特徴や、この島が信仰の対象となっていることなどを教えてくれた。島を一周する遊歩道があるらしいので、そこを歩いてみることにする。すぐに二手に分かれた分かれ道があって、左手のほうから中年の男女が歩いてきたので、軽く会釈をして先に通してから、彼らがやってきた方向へ進んだ。

 

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 このように島を一周する。あいだには、東尋坊に匹敵するダイナミックさの柱状節理や板状節理、波や、広く自然を見ることができた。ほとんどひともおらず、観光客用のお店などももちろんなかったので、どちらかというとこちらのほうが僕は好きだったかもしれない。

 

 ただ道はかなり歩きにくかった。岩場はまだしも、先日の降雪で濡れて滑りやすいぬかるみになっていた泥山道がとても厄介で、とくに後半部分では足場の悪い泥坂道を上るのに苦労した。上り坂だったからなんとかなったものの、もし逆まわりの道を選んでいたら途中で引き返すことになったかもしれない。

 

 

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 帰り道に関西のお兄さん3名グループとちょっと世間話になって、「もし一周するなら、最初の分かれ道を左に行くといいすよ」とアドバイスしておいた。

 

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 バスまではまだ時間があったため、島の対岸の陸地に広がる「安島」(あんとう、と読むっぽい)という集落を歩いてみた。急斜面に密集して、古色深い木造住宅が建てられていて、その合間に人しか通れない狭い坂道が迷路のように張り巡らされている。いい映画が撮れそうな場所だ。

 

 そしていま無事に帰ってきて、この文章を書いている。書くにあたって、とりあえず今日訪れた雄島についてWikipediaでしらべたところ、こんな記述があった。

 

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 みなさんも気をつけてください。「死」はいたるところに、口を開けて僕たちを待っているのです。たまたま僕は今日、難を逃れましたが、幸運はだれの身にも起こるものではないのですから。