サッカーファンをやっている以上、いろいろな選手の引退のニュースを聞くこと自体には慣れているのだけど、ずっと好きで、この選手がメンバーに名を連ねていると無条件で試合開始が楽しみになって、好調だと嬉しくて、ぎゃくに結果を残せていないとこちらまで切ない気分になってしまうような、自分にとってそういう選手が現役を引退するのは初めてのことだ。
内村選手は大分県出身のサッカー選手で、プロキャリアは大分トリニータでスタートさせている。そのあと愛媛FCで活躍し、札幌では長いあいだエースストライカーとしてチームを支えた。最後のシーズンはFC今治でプレーした。
キャリアの大半をJ2で過ごし、J1では目立った成績を残すことはできなかった。客観的に見るとそこまで華々しい選手ではないのだけど、うれしいことに、サッカーというのは客観ではなくて主観なのです。僕にとっての内村選手は間違いなく、主観的に、世界最高の選手のひとりだし、ほんとうにかっこいいスターだった。
内村選手の素晴らしいところをひとつずつ挙げていこう。ポジションはFWで、スピードに優れた選手だった。かけっこの速さというよりは、動きの機敏さでDFやGKを出し抜くイメージ。ちょっと離れたところからクロスに入っていって、一点で足を合わせて決めるゴールがとても美しかった。
それだけではなく、内村選手は持っている手札の数が多いタイプの選手であった。ディフェンスラインの裏に抜けたり、ゴール前でこぼれ球を拾ったり、ルーズなボールにぎりぎりのところで足を伸ばして競り勝ったり、ラインの手前で受けてDFをフェイントで躱したり。相手キーパーからボールを奪って決めたゴールも一度ならずあった。ゴールを決めるパターンの豊富さが特徴的で、落ち着いていて、しかも決めるゴールはどれもかっこよくて、記憶に残るものだった。ピッチ外で雄弁な選手ではなかったのだけど、その分、プレーで多くのことを語ってくれた。
内村圭宏のこのゴールを忘れることは、死ぬまでできないだろう。2016シーズンの第41節、アウェーの千葉戦。J2優勝と昇格を決めることになったこの1点。
なんでこんなゴールが決まるのかわけがわからないような、本当に成功率の低いプレーだと思うのだけど、それが本当の土壇場で決まってしまったことが信じられなくて、でも、その一瞬を引き寄せることができたのが内村圭宏という選手なのでした。いまでも映像を見返すたびに目頭が熱くなる。
この度株式会社ジャパン・スポーツ・プロモーションは、2019シーズンをもって現役引退をした内村圭宏(元プロサッカー選手)とマネジメント契約を締結しました🤝
— 株式会社ジャパン・スポーツ・プロモーション(JapanSportsPromotion) (@jspofficial1988) 2020年2月4日
今後、引退後の活躍を多岐に渡りサポートしてまいります!✨️#内村圭宏#soccer#football#jsp pic.twitter.com/0BNRmK5RqX
JSPとこのような契約を締結したらしい。これからも末永く、健康で、幸せに暮らしてくれることを1ファンとして心から願っています。