短歌 86

 

仏壇に一日ゆれるガーベラの自分のためには何もできない

 

 

いつまでもあなたといたい 巻貝の喰われたあとに残る暗やみ

 

 

昼過ぎの地震が起きた店内の賢い子から黙りはじめる

 

 

掲載を待つ冬でした レシートを貼り付けるだけの日記も途切れ

 

 

図書館に止まり木多くわれらみな渡りの季節を待つ渡り鳥

 

 

おちついた冷たさだった 過呼吸を私に起こした朝の空気の

 

 

痛車ああ貧乏草が根を張ったバイパス沿いの暮らしに光る