短歌 50

 

愛すべきもの失う日 朱肉にはああ朱がふかく染み込んでいる

 

 

きれいだな 青信号を撮ってたら赤に変わって一回やすみ

 

 

お金をください駄目ならおもちゃをください駄目ならやめてください

 

 

日本海 大陸恋しい砂浜で消えていく無貌の棒人間たち

 

 

つぎつぎと 死ねと言われた人が死ぬ 僕らのおどけた会話のなかで

 

 

殴られて 眼鏡は床に転がって 惨めだから拾わなかった眼鏡

 

 

扇風機も壊れる永さだ さようなら 亜鉛を摂るのをわすれないでね