短歌 33

 

まっさらな養生シートが引越しの部屋まで続いていく梅雨の入り

 

 

鍵盤のすぐ下の層に張る氷 温かな指叩きつけてよ

 

 

誘拐者えらい!だれにも気づかれず送り迎えのときのほほえみ

 

 

空はグレー海はブルーに光らせて夜間モードの地球であった

 

 

人はみな生きているのではなく死んでいる人もいる 半々くらいさ

 

 

陽のなかで肩をあずけた炉のなかに天使がいたかも知れなかったね

 

 

鉄棒で回れるけれど回りたくなくてツバメのままの放課後