短歌 6

 

とどかない場所かも知れずイカロスはじつは迷っていた 最後まで

 

 

皇帝の気まぐれひとつで死ぬ朝にぶどうの庭で乾く朝露

 

 

ケーブルの合流地点が胸元に収まってこれは僕のイヤホン

 

 

着替えるからうしろ向いてて 無人島 海がうしろを向いてくれたね

 

 

両面にジャムを塗られてトーストは抵抗するとひどい目にあう

 

 

さよなら、と掬われなかった金魚らは夕ぐれどきの空へかえった