片思いより悪いこと?~『ラブ・アクチュアリー』(2003)~

 

 昔、「年越しは必ず『THE 有頂天ホテル』を、正確に測った時刻から流し始めて、作中の時間経過にあわせて現実でも新年を迎え、それを祝う」ということを年越しの恒例にしている、……という人をネットで見かけて、「いいなあ…」とは思わないまでも心の隅にこの年越し法がちょっとずっと残っていたのである。

 

 2022年の年末、これをやってみようと思って「THE 有頂天ホテル」を探したんだけど、僕が契約しているサブスクには無かった。

 かわりに「こちらもおすすめ」欄に出てきたのが「ラブ・アクチュアリー」。こちらはクリスマスの映画だけど、「THE 有頂天ホテル」と同様にいろんな人がたくさん出てきていろいろする人情系映画らしい。まあ代用品として十分か、と思って見はじめました。

 

 そしたら、一番盛り上がる、ここが終わったらあとはエピローグ! みたいなキスシーンでちょうど年を越して奇跡起きた…と思った*1。カメラ回して配信しておけばよかった。

 

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 映画自体は「クリスマス映画のマスターピースのひとつ」という評価はあるけど、批評家からはちょっと賛否両論、でもそんなにdisり散らすほどでもない、くらいの立ち位置らしい。見終わったところで、「確かにそうだな…」と思いました。

 ただ、クリスマスにあわせて適当に流すパーティー映画としてはこの上ない作品です。いろんなひとがいろんなことをひっきりなしにするので、単純に、てきとうに目をやったときに面白いシーンが画面にある確率が相当高い。

 

 ただ、ずっと朗らかに見ていられる毒なし映画か?といわれるとまったくそうではなく、プレゼントをあけたときCDだったシーンはマジで「お前!!!!!!」ってなりました。冗談めいたお笑いパートと、愛にはこういう悲しい側面や恥ずかしい側面、シリアスな側面もありますねっていうレッスンのパートがうまく溶け合っていてすごい。界面活性剤の役割を果たしているのは、ずっと隙あらば差し込まれる、英国風のビターなユーモアでしょうか。

 タクシーの後部座席ふたりの間にすわるたこ子供、裸で抱き合いながら初デートの約束を取り付けるうぶなペア、「テーブル、……はおなじ発音ね」、……きれいな画になっている好きなシーンが、たくさんあります。

 

 年を越して、エンドロールが終わったところで、Amazonプライムでの無料期間も終わり、画面はこんな感じになった。いまはレンタル500円と、ちょっとほかの映画と比べて割高な感じもしますが、見る価値はありますよ。できればクリスマスに…。

*1:THE 有頂天ホテル」なら1回見たので、狙いのシーンを探してそこから逆算して流すとかできたんですけど、初見の映画ではそれはできないですからね。