バルベルデ、アセンシオ、……カルロ・アンチェロッティ

 

 

アントニオ・リュディガー

 ヴェルナーに裏で受けられるんだけどあえてそんなに戻らずに、切り返しと内側へのパスコースを切って、……ただシュートモーションに入ったら足を出せるくらいの位置をキープして、あとはクルトワに任せる、……といった守備を見せたのが前半に2回くらいあって、「盤石すぎる。……ここからは絶対失点しないな」「うん」と思ったのが印象に残っている。

 

オーレリアン・チュアメニ

 ちゃんとプレーを見たのは初めてだったのですが、良い意味で目立つプレーがなかった。浮つくことなく、マドリーのピボーテとして十分なプレーを、自然体で、再現性をもって繰り返していた。若いのにすごいです。

 

ダヴィド・アラバ

 ラテラルとして十分なプレーをしていたが、それ以上のスペシャルな面を出すことはなかったという印象。

 ヴィニシウスが前線で、相手の2vs1マークにあっていたので、サポートするためにアラバも上がっていったんだけど、狭いスペースでの打開が得意な選手ではないので効果はそれなり、むしろ人を集めちゃって(向こうはフォルシュベリの守備意識も高かったし)ヴィニシウスが突破するスペースをつぶしてしまっているようにも見えた。

 

 本来は一歩下がった位置でクロスを上げるのがいいと思うのだけど、「大外で勝負したいヴィニシウスと左サイドを組む&中央にターゲットがいない」というシチュエーションでラテラルで起用されたときどうプレーするのか? というのは今後要調整なのかな。今後何回もそんなことがあるかはわからないですが。

 

マルコ・アセンシオ

「アセンシオって最近どうなの?」
「ん~。まあ、マリアーノよりは序列高いんじゃないかな?」

 みたいな会話を試合観ながらイマジナリーフレンド*1としていたのですが、アセンシオが途中起用されて、魂のこもった守備を見せて、そのあとゴールを決めたときには、こんなクーラーのきいた室内でなめた口をきいてたのが自分でも恥ずかしくなった。

 

 アセンシオは戦力である、というのを印象付けた大きなゲームになったと思う。ただ、これくらいのプレーができることはみんな知っていて、問題なのは継続性。でも、今年こそ、アセンシオが欠かせないチームのピースになってくれるような気が、気がしてます。なぜなら……、

 

フェデリコ・バルベルデ

 なぜならの前に、今日はこの選手の話をしないと嘘になってしまう。インサイドでもアウトサイドでも前線でも中盤でも(ラテラルでも)プレーできて、活力と馬力と献身性と突破力がある、そしてファンタスティックなゴールでチームを勝たせることもできる。……ほかのクラブのサポーターが聞いたら、何そのスーパーな選手?とおもうでしょう。フェデリコ・バルベルデです。

 

 こういうニュースを見たけど、……気持ちはわかるが非売品だ。

 

カルロ・アンチェロッティ

 試合自体は90分まで難しいものだったけど、それを勝ち切れたのは監督の手腕のおかげじゃないでしょうか。試合中のベンチワークもそうだし、これまでの人のマネジメントもそう。

 ファンの間で評価の下がっていたアセンシオを、この重要な試合、まだ天秤がどっちにも傾いていない状態で送り出して、その選手が会心のプレーをして勝つ。……もうこれはただの1勝じゃないですよ。こんなことをしてくれたらもうファンはアンチェロッティが信じるアセンシオを信じるしかない。

 

 今年の目標はリーグかCLのどちらかをとることだと思うけど、リーガは現状かなり厳しい戦いになりそう*2だし、CLはもっと、――昨シーズンみたいな奇跡がまた起きない限り相当無理。

 そんな中で、アンチェロッティがでも最低限こなしてくれそうなのは、既存戦力をうまくならしながら、プレイタイムをシェアさせながら、いい状態でまた次のマドリーにつなげていくこと。サッカーは半永久的に続くスポーツなので、これをしてくれる監督がやっぱり一番いい監督なんですよ。

 

 今年一年の見通しが明るくなる、いいゲームでした。

*1:他クラブのファンでふだんはあまりリーガは見てない、という設定。

*2:瀕死状態から禁術で復活したバルセロナがどうも強い。