「ここはグリーン・ウッド」 ほか

 

ここはグリーン・ウッド

 今シーズンは19歳のイングランド人、メイソン・グリーンウッドさんがめちゃめちゃ結果を出しており、すごいなと思ったので、ちなんで那州雪絵さんのマンガ「ここはグリーン・ウッド」を読んでいた。

 

 学生寮を舞台に男子高校生がわちゃわちゃするだけの、とくに野心のないコメディなのだけど、そういう野心のない作品のもつちょうどぴったりの良さがあった。それに加えてなんというか即物的?な展開にしない上品さがあってそれも好き。

 あとたんに僕自身も高校時代は寮で過ごしていたため、寮ものをみるとうずく心がある。

 

 いちばん好きだったのは光流先輩、最終話の忍先輩との卒業後のくだりはアツかった。ストイックな作品がこういうふうにちょっとだけ欲を見せるのはいつ見てもいい。

 

オルタナティブロック史、完結……!

 ヴァジュライドさんというかたが書いているこちらの「オルタナティブロック史」が完結した。

 1960年代、――ビートルズからはじめて2010年代の最新のアーティストまで、「オルタナティブロック」だと解釈できるバンドを並べつつシーンの記述をしているものすごい記事である。

 

 なにがすごいかというと、単純に紹介されている音楽の数が多い! ――詳しくないので何とも言えないのだけど、これだけあったら網羅性も相当なものなんじゃないだろうか。その上、ただのリストではなくそれぞれのアーティストに辞典の項目くらいの紹介テキストが付けられている。

 こういうロック史の試みって、なんとなく評価や歴史記述の王道が確立されているニルヴァーナくらいまでで終わることが多い印象だけど、網羅性の暴力で「王道が確立されていない」問題をすっ飛ばし、2010年代後半までつなげている。

 

 次に聞いてみたい音楽を探すリストとしての実用性も高い。……しかもこのヴァジュライドさんというかたは異能力者で、このレベルの音楽記事(ディスクレビューだったり、アーティスト紹介だったり、その他音楽特集企画など)を毎日更新している。

 このnoteアカウントさえ知ってしまえば、読むものと聞くものには、もう困らないですね。

 

涼宮ハルヒの憂鬱」が面白い

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 アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」を見ていて、いまちょうど6話まで見たところとなっている*1

 

 で、めっちゃ面白いですねこのアニメ! なんか、世間的に名作と言われるアニメを「まあしょせん深夜アニメだし子供だましでしょ笑」くらいの気持ちで見て、結果「名作だ…」と感銘を受けるのは僕はけっこうよくやっていることなのだけど、これはさすがに度肝。正直こんなに面白いなんて思っていなかった。

 

 セカイ系逆張りというか、個人的な話が媒介なしで大きな世界の話に……なると見せかけて本当にただのキョンハルヒの話なのはいま見ても色あせないコンセプトの面白さがあるし、そこに挟まれる未来人や宇宙人や超能力者の小回り設定も外連味があって良い。

 その外連味設定を信じているようでもあるし信じていないようでもあるキョンの感じだったり、いちばんの焦点人物であるのに一番蚊帳の外に置かれているハルヒの感じが、サスペンスを作っていて見ていられる。あとキョンハルヒも今さら見るとふたりともかわいくてしんどい。オブセッションがありつつ、かといって完成度も高い、どのシーンもすっごい絵が綺麗。ちょっと非の打ちどころが見当たらない。

*1:これが公開される日にはもうちょっと先まで見ていると思う。