教室はいつも決まった時間に明るくなった

 

教室はいつも
決まった時間に明るくなった

雨の日の靴箱は
美味しい薬のにおいがした

落書きをした答案は
消されて戻ってきた

4色ペンを2色に壊して
君は平気だった

昼下がりの口頭試問で
枢軸国を3つ答えた

放課後になると
ストレッチの良さに気づいた

順位は掲示されたままになっていて
僕は口笛が上手いだけだった

自由は要らないから
早く家に帰りたかった

放火のあった町内で
よそよそしい人たちと暮らしている

君を追い抜いたことで
もう引き返せなくなった

  ※  

僕は引き返した
帰り道に置いてきた
ちいさな灯りを
もう一度見たかったから