他者の苦痛へのまなざし ほか

 

他者の苦痛へのまなざし

他者の苦痛へのまなざし | みすず書房

 スーザン・ソンタグの『他者の苦痛へのまなざし』を読んでいた。「戦争など、残虐な光景を映した写真を見ること」を主題とした本で、なんとなく、そういうときの後ろめたさあるいは同情心の現象学、またそれについての倫理学とかが内容なのかな、とおもって読み始めた*1のだが、実際読んでみるとその辺についての記述は薄めで、基本線は「メディア論」ですねこれは。

 

 写真というメディアがどういうふうに「他者の苦痛」と向き合うのか、というテーマがケーススタディと考察の二本立てで描かれている。そんなにまとまったメインの理路があるわけではないが、一応全体としては、ほとんど虚無になることなく、写真というメディアが苦痛を映し流通させることについて(一定の限界があることを認めながらも)前向きに議論している。

 

 でもやっぱりスーザン・ソンタグの文章は面白いですね。論旨部分が面白いかどうかは、……遠回しな言い方をすると人による*2と思うのだけど、それ以前の文章としての快楽、血沸き肉躍る感がすごい。

 これが他者の苦痛を直接伝える本じゃなくて、「他者の苦痛を映し出す写真一般」についての本でよかった。前者だったら完全に僕これこの本で*3批判されているような、「現代人の視聴者」だからな…。

 

10辛、……おいしかった

 これを書いている時点でもかなりちょっと前、……の話になってしまうのだが、ついにココイチの10辛カレーを食べた。辛いものはけっこう好き *4なので、いつかは食べたい、と思っていたのだ。

 

 まずとても感動したのは、結構おいしいということ。辛さに振り切ったジョークグッズみたいなのが来るかなと想像していたのだけど、ふつうに食べ物としておいしい部類だったんですよね。

 辛さの質も考えられてて、口に含んですぐはけっこう普通なんですよ。それからかなり、ボディが辛い。でも口の中のものがなくなってしばらくすると、……あ、もうひと口食べたいな、という気になってくる。

 

 結局、ある程度時間はかかった*5ものの、本格的な不快感を感じることはなく*6ふつうに完食することができた。なんなら、もうすこし食べたいな、と思ったくらいである。のちのち体調を崩すこともなかった。

 

 結論。辛いのけっこう好きだけど、10辛はまだ食べたことない、という人へ。たぶん食べれるのでいま注文しちゃっても大丈夫です!

 

フレデリック・ディーリアス

 タイムラインを見ていたらディーリアスの話をしている人がいて、とてもおもしろく聞いていた。聞いているうちに、でも俺ディーリアスってたぶん1曲も聞いたことなくないか?と思ったので、それから1週間ほど、暇を見つけてはディーリアスを流していたのだが、けっこう好きよりの音楽かもしれない。

 

 全体としてはのぺっとしていて、どこかここに必聴のキラーフレーズが!という感じではなさそう。ただ、印象を聞かせるという感じではなく、クローズアップしてみるとけっこう機知のきいた展開がある。心的なドラマというよりは、風景を想起させる、……といったファーストインプレッション。

 

 また、ディーリアスって、知ってるけど、詳しい人はそんなにはいなさそうで、ってことはマウンティング性能が高そう*7でちょっとその辺に惹かれてはいる。*8実際聞いていて好きだし、深めて、いけそうかな?

 

 代表曲が短くて聞きやすい&薦めやすい、というのもいいポイントですね。*9

*1:タイトルはそれっぽいんですよ。

*2:専門的に読めば面白いことが書いてあるのかもしれないが。

*3:まあこの本に限らないことですが。

*4:恋なのかと思った - タイドプールにとり残されてなどに詳しい。

*5:ちなみに家で食べました。店で食べたらもうすこししんどいと思う。

*6:小不快感はちょっとあった。

*7:攻撃力というよりは、音楽詳しい人に対しての防御力が高そう。クラシック詳しい人とデュエルしているときに、「あ~、僕クラシックはそんなに詳しくないんですけど、ディーリアスだけは好きでめっちゃ聞いてます」とか言ったらかなり善戦できそうじゃないですか。

*8:すみません。こういう人間なんです。

*9:マウンティング性能的にはマイナスだが、まあ、世の中に完璧というのはまれなので……。