仕事上、公的機関のホームページをじっと睨んだり回遊することが多いのだけど、その際によさげな読み物を見つけて、私用のデバイスでブックマークしておくことがある。
そうした経緯でちょっとまえにブックマークしたのがこちら。「うちの郷土料理~次世代につたえたい大切な味~」である。
ページにはこういった画面があって、県ごとに郷土料理を検索することができる。僕はこういうこまごまとした知識が大好きなので、これからちょくちょくピックアップして読んでいきたいが、まずは地元からはじめるのがよいだろう。
なるほどね。せっかくなのでみなさんにこの中から目に留まった郷土料理をいくつか紹介しますよ。
沖縄県では、「イナ」はイノシシ、「ムドゥチ」はもどきの意味を持ち、郷土料理の「イナムドゥチ」は「イノシシもどき」という意味。「イナムルチ(いなむるち)」とも呼ばれる。かつてはイノシシの肉を使っていた汁物だったが、イノシシ肉が手に入りづらくなったため、豚肉を使って作られるようになったことからこの名がついた。こんにゃくやかまぼこなどの具材も加えて、甘味噌で味をつけており、とろりとした具だくさんの仕上がり。材料の旨味がしみでた滋味深い味わいが魅力だ。
そんなけったいな名前の食べ物、現代人が食することないだろう、と第一印象があるかもしれませんがそれは間違いで、けっこう食べます。しかもこれ、おいしいですよ。「中身汁」と2強だと思うけど、個人的にはこっちのほうが好きかもしれない。
最近では、もち粉でシンプルに作る「白ムーチー」だけでなく、黒砂糖、紅芋、トーナチン(たかきび・コウリャン)を入れたものなど、地域や家庭によって変化をつけることも多い。「カーサームーチー」は、沖縄県の冬に欠かせない、風物詩的な料理だ。男子誕生の初めてのムーチーは、クバ(蒲葵)の葉で「力ムーチー」という特に大きなものを作って祝う。さらに、男女問わず生まれて初めてのムーチーを初ムーチーと呼び、「カーサームーチー」を親戚や隣近所に配る風習がある。
これも僕の周辺ではふつうに現役の風習で、うまいうまいと葉っぱに顔をくっつけて顔をでんぷんだらけにしながら食べたものだ。しかし今思うと自分が葉っぱに包まれた餅を食っていたとは信じがたいな。未開すぎる。
「もずく丼」は、肉や野菜の具材とともにもずくを炒め、ご飯の上に乗せたもの。ショウガの搾り汁を加えて海藻独特の臭みを抑え、甘辛風味に仕上げてあるので老若男女問わず好まれといる。学校給食で人気となったことから県民に広く知られ、現在では家庭でも作られるようになった。
え~? 悪いが見たことない。もずくはよく食べるけど、ご飯にするかな。
ちょっとこれは疑わしいのでいったんダウトとさせてください。周囲の友人に「こんなの食わんよね?」と聞いてみて、証拠がそろったら改めて訴追する。
ミヌダルは、豚のロース肉の薄切りに黒ゴマだれをまぶして蒸しあげたもので、真っ黒な仕上がりから「黒肉(クルジン)」とも呼ばれる。蒸すことで脂身が落ちるため、見た目に反して味はあっさりしている。イカ墨を加えてより黒く、またコクを出して仕上げることもある。
これは……、見たことはあります。
給食で何か月かに1回くらいの頻度出てきたが、意味が分からないので一回も食べなかった記憶がある。周囲を見渡しても誰も食べていなかったと思う。これとフーチバージューシーだけは誰も食べてなかった。これはガチ。名前も初めて知った。
いまでいう昆虫食のようなものであろう。
みなさんもひまな時間があったらぜひこのページを、まずは地元から、そして津々浦々へと読んでみてください。いっしょに郷土料理王になろう。