短歌 56

 

父さんのいない初めての夏の日にみがけば10円玉は光った

 

 

抑揚のない避難サイレンは何度目だ カラフルな共感覚の朝

 

 

そういえば進路の重なる雨粒はそこでひとつになるのだろうか

 

 

観光客の行きかうビーチ 一語だけ 名前のついた海がささやく

 

 

いちごもも荷棚に乗せてもガラガラであま酸っぱい距離バスは運んだ

 

 

寒いわけではなくかかる重力が欲しいだけ ブランケットを願う

 

 

死にたいと眠る私を朝のゆで卵が名古屋につれもどすのさ