短歌 55

 

砂抜きをされるあさりになる夢を見て起きたマゾヒスティックな朝だ

 

 

雷に葱刻む音 魔女に成りそこねてキッチンドランカーだよ

 

 

耳たぶのよな柔らかさ 政治家は庶民と握った手を離さない

 

 

作業所で食堂に行けば並んでる 僕たちのための穏やかな味

 

 

友たちの結婚予報を次々と外して君も詐欺師のひとり

 

 

真夜中に目を覚ますたび双子の兄のはぐれた脚を握るつめたさ

 

 

切られないために働く毎日がほんとの恋をやきいもにする