生きることと同じ

 

 ちょうど2年くらい髪を切っていない。

 

 髪を切るのを忘れているのではなく、じつはこれは、ある検証をしているのである。……それというのは、「髪はある程度まで伸びると、もうこれ以上伸びなくなるので、切らなくてもいい」説である。

 

 「髪はある程度まで伸びると、もうこれ以上伸びなくなる」というのは、べつに調べたわけではない。ちょっとした、いかにももっともそうに見える仮定ふたつから論理的に導き出せるものである。

 

 一つ目の仮定が、「一定時間あたりの髪の伸びる長さは、そのときの髪の長さにかかわらず一定である」というものである。

 これは非常にもっともそうに見える。たとえば丸坊主の人と、髪の長い人が二人並んでいるのを見て、髪の毛の長さだけを見て「こっちのほうが髪の毛の伸びが早そうだ」とはふだん思わないのではないでしょうか。

 

 二つ目の仮定が「一定時間当たりの髪の毛の失われる長さは、その時の髪の毛が長いほど長くなる」というものである。こちらは直感的には理解しにくいかもしれないが、以下のように考えれば納得してもらえると思う。

 

 まず、「髪の毛が自然に抜ける頻度」というのは髪の毛が長い人でも短い人でもおなじ、と考えるのが自然だろう。たとえば丸坊主の人と、髪の長い人が二人並んでいるのを見て、髪の毛の長さだけを見て「こっちのほうが自然抜け毛が多そうだ」とはふだん思わないのではないでしょうか。

 しかし、おなじ頻度で自然抜け毛が発生するのであれば、髪の毛が失われる長さは髪の毛が長いほど多くなる。なぜなら、抜ける髪の毛の平均的な長さが、髪の毛が短い人より長いからである。

 

 この2点から、髪の毛の長さにかかわらず伸びる速度は一定だが、減っていく速度は髪の毛が長いほど長いということになる。つまり、ある一定の長さになれば髪の毛の伸びる長さは0になり、総体として髪の毛は伸びなくなるのである。

 

 もちろんふたつの仮定ともに危ういところがあるため、実際に「髪はある程度まで伸びると、もうこれ以上伸びなくなる」のかはわからない。

 たとえば、髪の毛を伸ばすごとに毛穴が成長していって、どんどん伸びる速度が速くなる、といったメカニズムがあるかもしれないし、坊主頭にするとみんなから撫でられるので、その摩擦ですり減っていく速度を加味すると髪はある程度の短さに達するとどんどん短くなっていく、……といったことがあるかもしれない。現実は簡単なモデルでとらえることはできないほど複雑なのである。

 

 そんな現実と戦うには、ひとつずつ仮説を積み重ね、それを検証していくしかない。それは「生きる」こととおなじなのである。

 

 最後に、髪長いあるあるを言うぜ!

 

コロコロで部屋の掃除をすると、抜けた髪がコロコロを1周巻き付いた状態で張り付いてしまい、はがせなくなる!

 コロコロが機能しないのはつらいぜ。

 

 また見てくれよな!