だれかの代わりになれる人なんて、どこにもいないんですよ~「貧乏男子 ボンビーメン」(2008)~

 

「貧乏男子 ボンビーメン」 Hulu(フールー)

 というドラマを見ていたのだけど面白かった。面白いですよ!

 

 底抜けにお人好しな性格で、飲み会の誘いとかスキーの誘いとかカンパとかを断れずにいるうちに、消費者金融で借金*1を抱えるようになってしまったイケメン大学生(小栗旬)が、借金を返すために奮闘する人情コメディドラマ。

 いいところはいくつもあるのですが、まず一つ目はキャラクター。借金仲間のおまわりさん(八嶋智人)や消費者金融勤務で買い物依存症のお姉さん(山田優)も良いコメディリリーフっぷりをしているのですが、それ以上に素晴らしいのが敵キャラ・オムオム(ユースケ・サンタマリア)である。

 

 なんかこう、優しいようなふりをして詰めるときは有無を言わせず詰めてくる、自分のことを買ってくれている味方なのか、それとも自分を搾取してこようとしている信頼できない敵なのかよくわからない、

 ……あいまいに「快活で将来有望そうな、でも何物でもない若いだけの男」を東京でやっていると1回くらいは出会う*2怖いおじさんをやっていて、なんか嫌にリアルな怖さと、それゆえのドラマのキャラとしての愛嬌があるんですよね。

 

 各話の終盤にはそんなオムオムと主人公の「対決」があって、それまではそれぞれの回ごとにキャラクターの掘り下げとかがあったりする。最終的にはお話の結果にあわせて、小栗旬の借金が減ったり、あるいは膨らんだりする。

 1話ごとに決まりきった話のパターンがあって、その中で全体のストーリーをすこしずつ進めていったり、キャラ相関図に変化や進展があったり、……みたいな変奏曲チックなドラマのつくりがすごい好きなんですが、この作品でも非常に上手なこれを堪能できてよかった。

 

 とくに借金を、「ひと冬」*3という作中の時間で返さないといけない以上、ちょっとリアリティのない展開は出さざるを得ないのだが、そこに関係のない場所はしっかりリアルに忠実にシビアにしめていて、緊張感と安心して観れるのバランスがいい。

 借金という現実の難問をモチーフにしつつ、気軽に見れるコメディに……、という作品のコンセプト上の要請を、キャラ、ストーリー、演出すべての面で楽々クリアしている。たんに面白いだけじゃなくて質もすごい高いなと思いました。

 

 あと、この作品の小栗旬、連ドラ初主演だったらしく若々しくて、あと男子大学生という設定からか、ずっと髪もぼさぼさ。そのうえ借金も背負っているのでマジでずっと粗品に見えた*4のワロタ。

 霜降り明星が好きな人にも是非おすすめな、傑作ドラマですよ!

*1:そんなに莫大ではない。

*2:僕も2回ほど出会った。

*3:貧乏生活を効果的に演出するためか、作品の舞台は寒い季節にfixされている。

*4:競馬の回など必見です。