短歌 54

 

天空のひかりのなかに乾きつつ給水塔を上る蛞蝓

 

 

膵臓がこわれて夜は前よりは退屈じゃない もうおそいけど

 

 

大阪の迷いクジラは死んだという訃報聞きつつ朝の炊飯

 

 

寄る辺ない夜きみの口癖真似したらあわれなバターはSad Butterだ

 

 

極私的な単語も混ぜてた 暗記カード 今の子はもう使わないんだって

 

 

浮雲は形を変えて僕たちは写生のためにここへとどまる

 

 

水道水PETにつめて持ち歩き真夏の僕よ純粋であれ