まさか「せんべい」にハマるとは、ワロタ…w

 

 今、アメリカに行っている友人の家を短期間また借りして住んでいる。住みに来るまえに1回、「この土地を下見しよう!」ということで、友人にここがどういうスペックの街なのか、いろいろ案内されつつ教えてもらったことがある。

 

 「駅の前をここに行くとスーパーとドラッグストアがあるよ」「うん」「クリーニング屋さんは何軒かあるけど一番近いのはこの店だよ」「うんうん」「あと関係ないけどなぜか不動産屋さんがいっぱいあるよ」「それはいらんね」……などと案内してもらっていたときに、友人はこうも言っていた。

 

友人「あと、家の真ん前にせんべい屋さんがある」

僕「だから何だと言うんだね」

友人「いや~? せんべい食べないかと思って? あれ、せんべい好きじゃなかったっけ?」

 

 「家の近くにせんべい屋があったとて、『とて』だろ」、最初はそう思っていたのだが、住んでしばらく経つうちに、日常的にせんべい屋でせんべいを買うようになった。まさか、僕がせんべいにはまってしまうとは。

 でも、せんべい屋でせんべいを買って食べるという経験、なかなかいいんですよ。

 

 家族の生業なのであろう小さな、昔ながらというお店で、「手焼き」だというせんべいを1枚単位で購入することができる。ショーウィンドウに陳列されているものを見ながら、「今日は、『プレーン』と『のり』と、……あと甘みが欲しいから『ざらめ』にするか🥰」というふうに、一枚一枚考えて選んでからすぐに食べるせんべいは、いつかスーパーで袋で買っておいてあったのを「そろそろ食べるか」となって無感動に食べるよりもはるかに味わい深い。

 ベーカリーでパンを買って食べるときの趣に近いかもしれない。よく考えたら、おなじ主食穀物の加工品だし、……江戸の人たちがせんべいを食べる感覚って、ヨーロッパの人がパンを食べるのにちょっと似ていたのかも。

 

 「せんべい屋」というのはけっこういい体験だなあ、と思ったのですが、やはり現代人にとってはなじみのない習慣のようである。実際、検索してみても、「せんべい屋に通っています」との声は話題になっているものに限って言えば5年前にすでに途絶えている。

 実際、僕の行くせんべい屋でも、……こういうことを印象で言っちゃうと間違っているかもしれないので失礼かもしれないんですが、でも僕が入店するたびに、店番のおじいさんが毎回「まさか客が来るとは…、ワロタw」みたいな顔をするんですよね。そして会計の手続きの間に「ありがとうございます」を言われる回数がなんか多い、気がする。

 

 ためしに、「せんべい 売れない」で検索してみると、そういった事実を報道する記事は見当たらない。「せんべいが売れていない」という事実にニュースバリューすらない、という危機的な状況にせんべい屋業界が陥っていることがわかる。

 

 これから、「せんべい」はどうなってしまうのだろうか。

 

まとめ

 家の近くにせんべい屋があって、うれしい😁