「とんずらごはん」と「CLIMB THE MOUNTAIN」

 

 起きたらKindleのライブラリにマンガが増えていた。どうも昨夜(というかほぼ今朝)の自分が泥酔して購入したものらしい。僕の認識では生活に絶対必要じゃないものを買うのは「浪費」であり、普段は厳に慎んでいるのだが、まあお酒を飲むとこういうことも起きますね。

 

 しかたがないので読んでみることにした。まずは「とんずらごはん」から。

 

とんずらごはん(1) (マガジンポケットコミックス) | 義元ゆういち | マンガ | Kindleストア | Amazon

 無実の罪を着せられてしまったお嬢様が、警察*1から逃げながら日本各地の名産グルメを食べ歩く、……という内容のグルメマンガである。

 「お嬢様」「グルメ」というはずれのない要素を組み合わせており、さらに「身の危険を感じながら食べるご飯は割増しでおいしく感じる」という効果*2も加えることで、かなり納得度の高いグルメリポートを提供している。見かけに反して非常に戦略的で練られた作品である。

 

かましいぞ

 紹介するグルメのマニアック度合いはそこまで本格的ではないが、「やかましさ」とか「味についての嘘理論」といった、グルメマンガにあるべき要素もしっかり兼ね備えているのがいいですね。

 

 ちなみに途中でしっかり逮捕されて留置所に送られるなど、意外とストーリーの縦の展開がせわしないので、けっこう先へ先へと読み進めてしまう。全4巻完結済です。

 

Climb the mountain (ソノラマコミック文庫) | 川原 由美子 |本 | 通販 | Amazon

 次に読んだのが、「CLIMB THE MOUNTAIN」。これは1巻完結の短編作品である。

 

 というツイートをTLで見かけて、「『ななめの音楽』っていうタイトルマジでかっこいいな……」と思って、気になって購入検討リストに入れていた作家。結局検討せずに購入*3することになったのだが、実際とてもよかったので満足です。



 主人公の男の子と、その父親でポルノ映画監督のおっさん。そのおっさんを取り巻く女たち(主人公の幼馴染で、ポルノ映画ファンの中学生女子含む)が登場する、家族コメディ、といった感じのお話。

 

男のヒステリーは中年の能天気よりずっとまし、真実かもしれない

 なにか珍しい企図があったり、ものすごいドラマティックな展開があったり、なにかを訴えかけるような作品ではないが、絵がきれいだしキャラが立っているし、テキストのセンスがいいので終始楽しく読むことができます。ローカロリーながら繊細な何かを楽しみたいなって、ときにちょうどいい。*4

 

 結局どちらも良かったので、たまにはAmazonショッピングをつまみにしながらお酒を飲むのもいいかもしれない。

*1:神奈川県警。なのであまり逃げることに罪悪感を感じずに済むのが良い。

*2:キャンプとかが楽しい理由もこれがすべてだと個人的には思っている。

*3:検討したのかもしれないが、酔いが回った状態での検討は本当の検討とは言えない。

*4:あと、だから何だというわけではないですが、この作品はたぶん逆ベクデルテストをパスしない(女性に関しての話ではない男性同士の会話が作中に登場しない)。