ここが我々の楽園

 

ここが我々の楽園
けど誰も並んでないね

  ※

これを人生の最後の冬にしようと
決意したときの友
つまり君の横顔を
いつまでも覚えているよ

僕は新しいコートを下ろし
生活を立て直していたところだった

思いつきで入った映画館ロビーで
観たいものを心を込めて選んだ

君とはこれまで同じものを見てきて
同じことについて話してきた
ただ人生の過程がずれたり
決意のタイミングが違うときもあっただけ

小説を書いている
君のことが好きだった
そして

改札で別れる時に
君に借りっぱなしだった
本のことを思い出したけど

なぜか
その話はしなかった

これまで
君と会うことが
とても楽しかったので

  ※

どうも間違えたみたい
つぎの楽園を探そうか