1号と2号

 

 

 国道1号を車でひたすら走って東京から大阪まで行く、という趣旨のこちらの動画を見て、とても充実した時間を過ごすことができたので、その翌日、おなじ投稿者による国道2号で大阪から北九州まで行く動画も見た。

 僕自身けっこう長時間耐久で車を運転するのが好き*1なのだけど、長時間耐久で車を運転している動画を見るのはもっと好きである。運転しなくていいですし、酒も飲みながら見れますからね。

 

 こちらが国道2号の動画。どちらの動画でも、道中の観光地に立ち寄ったりとか、ご当地グルメを食べたりとかはしない。アトラクションはなにもなく、ただただ純文学的に国道を進んでいくだけである。でもそれが良くて、見ている間セロトニンが出っぱなしだった。

 

 

 あるのは道路の雰囲気や周囲の景色の変化、それに車線の移動と、時間の経過である。渋滞にはまればけだるく、バイパスにさしかかるとうれしい。ひとつひとつ街を越えていくのが快感になってくる。朝の薄闇の中からはじまって市街地を抜けたころには完全に明るくなり、目的地に近づくにつれてまた暮れていって、動画の終りごろに画面に映っているのは深夜の闇と街の明かりである。画として非常に美しい。

 

 軽快なトークがあるわけではなく、動画の間を繋いでいるのは慣れた間柄の友達と長時間過ごしているときにありがちなとりとめのない会話なのだけど、それも途中からかなり心地よくなってきた。ご飯を食べるか食べないかで、どっちにしても大した理由はないのにずっとぐだってるところとか最高だった。

 

 基本的には中の人は鉄道オタクらしく、(それが主題になってしまわない程度に)テロップでいま通っているところの地理的豆知識を出してくれるが、これもいいアクセントになっている。ここを見ている人に、「地理好き」「乗り物好き」「移動そのものを目的とする旅行が好き」という属性を持っている人がどれくらいいるかは分かりませんが、もしピンと来るなら絶対に観たほうがいい動画となっています。

 個人的には、移動する風景を車窓から見ているだけでセロトニンで横溢するタイプの人間なので、とてもはまりました。

 

 国道の数だけこういう動画がある。1号や2号よりはちょっと地味になっちゃうけど、でもおなじ土地というのは地上にふたつとないので、たぶんどの風景にもこれだっていう良さがあるのでしょう。しばらく見るものに困らない身分になった。うれしい。

*1:とはいえ運転していたのはもっぱら地元の沖縄だけなのでたいして過酷にはならないが。