ラブライブ! とくにμ'sが出てくる初代がとても好きなのだけど、じつは好きな楽曲というのがほとんどなかった。
音楽の趣味的にちょっと合わない……、という「人それぞれ」の部分が僕にちょっとnot for meだったところもあるのだけど、それ以上に、おもちゃみたいな音でバンドサウンドをやる*1のでそれがかなり聞いていて辛いというところがあった。どの曲もサウンドが陳腐で、聞いていて楽しい瞬間がない。
曲のテイストもけっこう保守的なアニソンで、僕がはじめてラブライブ!にはまった2017年くらいだとすでにかなり古く聞こえてそれも辛かった。
一応設定として、彼女らはDIY*2でアイドルをやっていて、同世代を中心にひろく人気になっているというていなので、もっとこう、こういう曲じゃなくて、流行ってるジャンルの曲とか、メンバーが聞いてきたバックグラウンドがあるジャンルの曲とか、なんかべつなのを歌うほうが自然*3なんじゃないのか……、という思いが強くあった。
いまいちこう、……楽曲単体でこのコンテンツの正典としては見れなかったのである。もちろん、キャラが歌っているとかわいいというのはあるので、まあアクキーとかルーズリーフくらいの重要度の派生コンテンツかなあ、という感じである。
……という感じだったのだが、最近ちょっと振り返ってμ'sの曲を聞いてみる機会があり、すると、「ぜんぜん楽しみながら聞けるな」と思えるような曲もいっぱい見つけることができた。そのなかからいくつか挙げていきたい。
「春情ロマンティック」は例外的にもとから好きだった曲である。そもそも昭和歌謡リバイバルみたいな曲は趣味としてだいたい好き*4なのだけど、この曲のように「ダサい」こそじつは「かっこいい」で「かわいい」なんです! みたいな主張があると上で述べたような難点が解決されるので客観的に見ても推せる曲になる。
「微熱からMystery」「乙姫心で恋宮殿」もおなじような理由で良いと思います…。
これはとても面白い曲だった。キラキラしたイントロからはじまる、ゴスのようなラテンのようなリフが特徴的なエレクトロポップソングで、曲のいろいろなところに遊び心と緊張感があってとても良いですね。とくに盛り上げといてその下から入るサビが見事。
あとクライマックスまえのしゃがむところで、東條さんの声が左右に振られるのちょっと笑えた。
たぶんタイトルを見たときに「るてしキスしてる、か……」と思い、聞かないでおこう……、となった曲だと思うのだけど、これは最初から聞いておくべきでした。
めっちゃスカだ。……スカは大好きです!
μ'sはこてこてのアニソンばっかり、という認識でいたのは良くなかったのかもしれません。スカである、という以上になにかがある曲ではない気もするけれど、へんに尖った曲にならずにご機嫌なアイドルポップにまとまっていることを面白がるのが良い気がする。好きな曲です。
上のほうで「もっとこう、こういう曲じゃなくて、べつなのを……」と言ったときに念頭に置いていたのに近いのがこういう曲だと思う。やっぱり後ろはバンド系よりダンス系のトラックのほうがパフォーマンスも幻視しやすいし、こういうので固めても良かったのではと思うのだが……。
間奏には激しめの展開も用意されている。ステージでひとりずつちょっとしたソロパートを取るのにうってつけだと思うのだけど、……これはどうやら2期最終話のDVD特典の曲のようで、ひょっとして、ライブでは未披露だったのかも。
ほかの好きな曲
「LONELIEST BABY」*5「Dancing stars on me!」「スピカテリブル」「僕らのLIVE 君とのLIFE」*6「どんなときもずっと」「Hello,星を数えて」「ぶる~べりぃ♡とれいん」などなど…。
*1:プロジェクト初期の曲に顕著であり、たぶん楽曲制作に時間やお金をかけすぎると投資が回収できないと思ったのだろう。軌道に乗ってきたのか、「Music S.T.A.R.T!!」ぐらい以降は改善傾向がある気がする。
*2:プロデュースや振りつけ、作曲もメンバー内でやっていることになっている。作曲だけならともかく、アレンジやミックスも全部するのってさすがに非現実的なので、ここはみんななにも言わずそのままのみこんでいるファンタジーである。
*3:聞いていると、フィクション内の彼女らの姿より現実世界のファンの姿がくっきりと浮かぶ楽曲なのである。
*4:ポルノグラフィティでも「青春花道」がいちばん好きというくらいである。
*5:これは「春情ロマンティック」とおなじで昔から好きでした。
*6:すごいチープな曲なんだけどいま聞くとガレージ的な良さがあった。