短歌 31

 

蝙蝠が罪を重ねて飛ぶ日々の法定速度の幸せだった

 

 

「罠だ」って誰もが言うよ 目印は海岸倉庫の落書きひとつ

 

 

血を売れば暮らしてゆける あたたかくべちゃべちゃしている僕らの命

 

 

大人へとなりゆく君に裏切られつめたいままだ僕のソプラノ

 

 

妹もここを気に入りますように 工業団地の夜のかがやき

 

 

海の陽は真っ白な帆をあたためる 港で生まれた猫はしあわせ

 

 

僕たちは最高時速で海岸へ 若い世代に愛なんてない