もし魔法が使えても時を止めないで

 

もし魔法が使えても時を止めないで

郵便局に荷物を届けにいく
毎朝の習慣を覚えていて

手首についた乾いた絵の具を
コーヒーのあいだそのままにして

 

「止まれ」の並ぶ曳舟道で
転んだ自転車を直すのに戸惑い
雲でまだらな太陽の光を浴び
つかの間の眠気にうっとりして 

 

紙ナプキンに書いた証明を
くしゃっとにぎって潰さないで

バレンタインデーのさなかの世界で
たったひとりの革命家でいて