甘い緊張病

 

Apple Music on Twitter: ".@w1lko guides listeners through the birth of  Britpop and reveals how @oasis became the biggest British band of the 90s.  Listen now: https://t.co/HC6LxP46QB… https://t.co/buCt10CHUE"

 昼休みに「I miss ブリットポップ」というApple Musicのプレイリストを見かけて、まさにその通りの気持ちだったので聴いていた。「Song 2」や「Common People」「Champagne Supernova」などを聴いているうちにふと混じった、「Rode Rage」*1という曲がとても良かったので、そこでいったんプレイリストを止め、そのあとはその曲の持ち主であるバンド「Catatonia」の曲を夢中になって聞いていた。

 

 「Catatonia」は1992年から2001年まで活動したウェールズカーディフ出身のバンド。大元のブリットポップのムーブメントが失速し、その後ストロークスなどを中心にした新たなオルタナティブ・ロックのムーブメントが起こる、ちょうど中間の時代に活躍した方々らしい。

 ちなみにスペルのCをKに変えただけのKatatoniaというスウェーデンのメタルバンドも存在し、そっちもそっちでけっこう有名なため、日本語で「カタトニア」と検索するとそちらが優先して出てきてしまうので混同にご注意だ。

 

 しかし、聞いてみてまず思うのはヴォーカルの存在感ですよね。「名前が書いてある」ような声で、この曲なんかオープニングは、「でた! こういうインディーロック!」みたいな感じなのに歌がはじまるとそこにすべてが持って行かれる。

 サウンドにはインディーロックの土台があるのに、最終的には良くも悪くもヴォーカルの声と運命を共にしちゃうような曲たちがたくさん並んでいる。その感じは「JUDY AND MARY」に似ているかもしれない。

 

 そしてその結果、それぞれの曲たちがとても面白い。アンセム感のあるメロディーを武骨なサウンドが下支えする、というブリットポップの共通項を微妙に片足で抑えながら、しかし同時にメロディーは、ときおり、ここぞってタイミングでメロウさに流れて、あるときは「The Cardigans」くらいポップになり、そのときにかすれるような甘いヴォーカルがとてつもなく輝く。……しかしそのフレーズが終われば、重心はまた、ブリットポップに戻ったりする。

 ドリーミーなのにパッションもあるんですよね。この多相で、不安定な感じがとても素敵だ。

 

 フロントマンでありヴォーカルの、ケリス・マシューズはアルコールの問題を抱えていて、それがもとでバンドは解散。彼女はその後も、ウェールズ語の歌を歌ったりするなど、生まれた土地に根差した活動を続けている。

*1:偶然知っていたが、渋滞に巻き込まれる、あおり運転を受けるなどの理由で、運転中に突然キレることを表す言葉である。