疑問や悩みに答えていると
魔法のこもった言葉を
ふと漏らしたり
突きつけてくる学生たちがいる
僕は一秒もかからないし誰にも見えない
深呼吸をして
精一杯の答えを返す
刺のある魔法を
用心深くめくって捨てながら
「助けて」と言いたいときに
差しのべて欲しいどの手のことも信用していない
それに気づいたとき
逆にひとを助ける仕事を目指した
数年後こうして夢がかなって
疑問や悩みに答えていると
魔法のこもった言葉を
ふと漏らしたり
突きつけてくる学生たちがいて
その全員を
裏切られたと気づかれないままに裏切る
僕は一滴にもならない涙を流し
誰にも聞こえないしゃっくりをする
そうしてまた
なにもないつるつるの声で答えを続ける