「さまざまなアイドル研究部bot」の好きなpost

 

 周囲の状況とそこに置かれたキャラクターの行動や様態の記述、あるいはそれを接続詞でつないだ2から3の複合的な記述、……という形式でなされる二次創作がインターネット上にけっこうあって、その最小でエッジイな創作形式に見とれていた時期があった。

 

 しかし、形式上の理由から検索で効率よく閲覧できるようなものではなく、また何百回もリツイートされて回ってくるようなものでもないため、なかなか追いかけるのが難しいジャンルである。

 

 しかし例外的に、botとしてその形式の短文が集積されているアカウントがある。このbotがとても詩情にあふれていて、流れてくるたびにはっとして、とても好きだった。このアカウントのpostのなかからいくつか、好きな短文を紹介していきたい。

 

 いまひさびさに見返して思ったけれど、僕これより世界の本質を捉えてきれいな文章を知らないかもしれない。「機嫌のいいとき」「置きっぱなし」「ギター」「くれる」あらゆる要素が、ほとんど悪目立ちしないさらっとした言葉なのに、文章のなかでぴったりと役割があって、書かれていること以上のいろいろな後景が浮かび上がってくる。

 これを初めて見たあと、なんども頭のなかでイメージをくりかえしたが、飽きることは本当になかった。そのあとこの内容を膨らませるような形の二次創作ssを書いた。話の都合上、ギターを弾くのは園田海未になったので、原型はなくなってしまったが。

 

 ザ・シンプソンズと「君のためなら死ねる」を足して二で割ったようなアートワークも味わい深くて素敵ですね。

 

 「○○な△△」と「××な□□」、そんなシンプルな対立を構造として中に含むだけの64文字で読むひとを悲しい気分にさせることがどうしたらこんなにできるのだろうか。

 これに経緯とできればハッピーな終わりをつけ足したお話を読んでみたいと思うのだけど、どう考えてもいちばん面白いのはこのコンビニのシーンになると思うので、本当にやりがいがなく、ずるい。

 

 美しかったり、切なかったりするだけではなく、

 

 ダグラス・アダムズの小説のひとチャプターのようにスリリングだったり、

 

 文脈なしだからこそ成立する鋭さとセンセーションを持っていたり、

 

 フリップ芸のひとページのようなあるあるとおかしみ、

 

 なぜそうなるのかはわからないけれど、この世界ではそうなんだろうって納得してしまうような説得力、

 

 そして、キャラクターの生きる現実を細かいところまで見つめて、それを形にする愛と献身がある。

 

 とても好きなので、周囲の状況とそこに置かれたキャラクターの行動や様態の記述、あるいはそれを接続詞でつないだ2から3の複合的な記述、……という形式でなされる二次創作、をみなさんやってみてくださいね。さようなら。