スコット・ロジャーズ『「レベルアップ」のゲームデザイン』がおすすめな5タイプの人々

 

 「レベルが上がって、パワーアップする」という概念をゲームのなかにどのように組み込むのか、……たとえば、力とか体力といった数字を用意してそれを上昇させるのか、あるいは武器の換装だったり設備の拡張だったりするのか、それともそういった要素は一切なしにして、プレイヤーの成長に任せるのか、……そういった、ゲームのなかにある「レベルアップ」にまつわることが詳しく書かれている、そんな本なのかな、と思って手に取ったら、「レベルアップ」という掛け声のもと、ゲームデザイナーに求められることを、ゲームに携わる開発チームの職種紹介から重役へのゲームコンセプトのプレゼン方法まですべて解説した、網羅的なガイドブックだった、といった経験を最近した。

 

「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック

「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック

  • 作者:Scott Rogers
  • 発売日: 2012/08/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 もし、①「そのような経験をしたい!」と思うかたがいたら、この本をとてもおすすめします。ほかにも、②ゲームの開発に近い職場で働いているひとが、ゲームデザイナーの仕事の全体像を把握するために読んでも面白いと思うし、たんに③ゲームを遊ぶのが好きなひとが読んでも面白いと思う。

 ④ゲームデザイナーへの道のりを歩いているひとにとっては、ちょっと抽象的だけど実戦的な、たくさんのアドバイスが詰まったもっと重要な本になるのではないか。

 

ボスを悪く危険に見せるもっとも一般的な方法は、とにかく巨大にすることです。

 プレイヤーにゲームカメラの操作を許すと、大抵の場合悪いことが起こります。配置すべきでない位置にカメラを動かし始めます。そして、地形にカメラを埋める方法を見つけます。ほとんどの場合、とにかくゲームをかき乱します。

 僕は①~④のどれにも当てはまらなかったのですが、本自体の語り口が面白いので、けっこう毎日夢中になって読んでいた。特定の分野の、今後自分が使うことはないだろうハウツーを純粋な知識として消費するのが好きだし、その消費を与えてくれる本がユーモアに満ちているのならさらにうれしい。

 

 「とにかく巨大」のところとか、壊せるオブジェクトとして木箱を配置するのはまったくクリエイティブではないので、代替案をあげます、といって「樽、宝箱、花瓶、(…)商品が詰まったショッピングカート、酸素缶、スロットマシン、コピー機、トイレ」と突然たくさんの文字数を使って50個も壊せるオブジェクトの例を挙げはじめたときには壊れてしまっているのかと思った。

 ほかにも完全なジョークから、どこまで本気で言っているのかよくわからないtipsなどもあり、なかなか緊張感がある。

 

 そういった面白さやひやひや感が好きなひとにも、ひょっとしたらおすすめかもしれませんね。