スプレゴとヨカ

 

 Wikipediaの「落書き」というページを読んでいたら、このような記述に行き当たった。

 

1990年代より米国のヒップホップカルチャーに憧れを持つ青少年層がタギングによる縄張り宣言行為を行うことから社会問題として度々新聞に取り上げられており、これらも市民有志に拠る除去活動も見られる。大阪では「ヨカ」と呼ばれるマークが、東京では「スプレゴ」という第三者には意味不明な汚損行為が続いており、これらを真似て書くことのファッション化傾向が見られる。

落書き - Wikipedia

 ここに出てくる「スプレゴ」と「ヨカ」というのがまったくの初耳だったので、ちょっと画像検索してみたら、これがなかなか良かった。

 

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 もうすこし、悪い意味でかっこよく書かれているタグなのかと思っていたので、この気の抜けた感じ、かわいい感じが刺さった。いいじゃないか、この落書き。「スプレゴ」は濁点・半濁点の位置が、「ヨカ」はくっついていてひとまとまりの未知の記号のようにも見えるのが非常にかわいい。かわいくて謎めいている、ってとても素敵じゃないですか。

 

 もうすこしインターネットで調べてみたが、だれがなんのために書いているのかは不明な模様。情報の多くが、2000年代後半~2010年代前半にかけてのものであり、現時点ではアクセスできないものも多かった。「スプレゴ」はsuperego(=「超自我」と訳される、フロイト精神分析の専門用語」)をローマ字読みしたものではないか、「ヨカ」は同名のグラフィティライターのことではないか、といったうわさは見つけることができたが、はっきりとしたことはわからない。

 

 わからない分、よけいに「スプレゴ」「ヨカ」という文字列が好きになってくる。どちらも意味不明だが、たんに意味不明なだけではない。謎がかかっているが、それは解かれるのを待ち受けているような謎にも見えて、こちらを突き放すのではなく逆に惹きつけるような愛嬌がある。

 作品の素材としても使えそうではないだろうか。マンガのひとコマにこれが隠れていたらかっこいいし、架空のキャラクターや組織の名前の由来にしても良いと思う。いや、架空のものに限らないな。子供ができたら、男の子だったら「スプレゴ」女の子だったら「ヨカ」という名前にしようと思います。

 

 現時点で東京や大阪の街におなじ落書きが書かれているかどうかもわからない。(僕は個人的には見たことがない。……たぶん)もし、見たよ、とか、自分で書いたことあるよ、といった人がいれば、非常に気になるのでぜひ教えてください。喜びます。

 

 この「落書き」、というページにはほかにも、「ファミコンカセットのROMデータに書き込まれていた愚痴」とか「アンコールワットの侍の落書き」とかけっこう無秩序にいろいろなことが書かれていて面白い。Wikipedia的に良いページではないと思うが、なかなかおすすめのページです。眠れない夜のおともなどにどうぞ。

 

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