The WhoではなくThe HUにはまっている。今回は彼らの魅力を1000文字ちょっとでご紹介しようと思うのでお付き合いください。
The HUは2016年にモンゴルで結成された4人組のバンド。調べてみたら「匈奴ロック」という触れ込みで記事を書いているメディアを見つけて、なんでそんなうけ狙いの解像度の低いださキャッチをつけるかなあ…とあきれたしぐさをしてみたのだけど、「匈奴ロック」というのは本人たちが自分で言っていることらしい。ださいと決めつけてしまいすみませんでした。かっこいいです。
代表曲、Yuve Yuve Yuは5200万回も再生されている。モンゴル国民で単純計算すると全員が17回ずつはこの曲を聴いていることになるが、そんなはずはないので、全世界で普遍的に聴かれているということなのでしょう。
オープニングでは、遊牧民のこころを忘れ、堕落してしまった現代のモンゴルの若者の姿が描かれる。しかし、家から一歩を踏み出したその先に、スマホのアラームを止めた画面に、中央アジアのはるかな荒野がひらける。「そうだ、俺たちは匈奴だったのだ…!」そう実感したかのように、エスニックで勇壮なメロディーが流れはじめる。
喉歌、とよばれる、ふくよかな倍音が特徴的なヴォーカルに、日本で国語教育を受けたひとならだれでも知っている馬頭琴のフレーズが重なる。曲の作りはメタルで、その内側には自分たちのルーツに対するつよい自信と誇りがみなぎっている。非常に男臭いところも最近の僕の好みにとてもマッチしている。まぎれもない、名曲だ。
「ザ・グレート・チンギス・ハン」というそのものみたいな名前をしたこちらの曲もおすすめである。聞きなれてくると、この喉で震える低音歌唱以外の曲の楽しみかたがよくわからなくなってくる。危険物なので注意して聴いてほしい。
映像はさすがにかっこいいというよりは面白い。……BGVにも最適だとは、なんてバンドだ。モンゴル最高!
こちらの曲ではモンゴルの厳つい兄ちゃんたちが草原にバイクを並べて、低く唸るような音楽に合わせて体を揺らしている。モンゴルの「HiGH&LOW」のような感じだ。現地では輩たちに大ウケしてて、窓全開になった車とかから大音量で流れているのかもしれない。
このThe HU、今年の3月に来日公演がスケジュールされていたみたいだけど、新型コロナウイルスのために中止になってしまった。世間的には悲しいニュースだけど、今これを読んでいるあなたにとってはうれしいニュースですね。The HU来日の衝撃を、これから自分で目撃することができるわけですから。