最近、「そういえば俺ってどんぐりについてなにも知らないな…、このまま知らないままでいるよりは多少知ったほうがいいのではないか」と思って、宮國晋一さんというかたが書いた『どんぐりの呼び名事典 拾って楽しむ』を読んだ。
そもそもとして、僕はどんぐりってどんぐりの木という一種類の木に生る木の実のことだと思っていたので、種類があるということをしった時点で超びっくりした。たしかに、こういうふうに種類をあげられて、きれいな図版でたくさん並べて見せられて、形態や色について細かな解説を受けてみると、たしかにそれぞれに個性があって面白い。
趣味になるのもわかる気がする。
本のページの写真を撮るというのはちょっと下品だけど、このワンカットだけ許してください。「小さくて丸いもの好きの私にとって、ツブラジイのどんぐりは垂涎の的ですが、残念ながら老眼が進むにつれて、採取するのが年々難しくなりつつあります」……! めちゃくちゃかわいいおじちゃんかよ!
どんぐりだけでなく、どんぐりとおなじくらいかわいいどんぐりラブなおじちゃんのどんぐり愛をつづったかわいい文章も本のそこかしこに散らばっていて、読書好きならそれを拾い集めるだけでもよい体験になると思います。
『どんぐりの呼び名事典』出版のきっかけになった作者さんのウェブサイトもかなり良い感じだった。
そのあと、「そういえば俺って塩についてなにも知らないな…、このまま知らないままでいるよりは多少知ったほうがいいのではないか」と思って、『塩の科学』という本を読んでいた。
塩の科学と銘打っているこの本は「塩資源はその起源をさかのぼるといずれも海水にたどりつく。したがって、海水を離れて塩を語ることはできない」との前口上のもとに、地球誕生の大まかな説明から始まり、味覚の仕組みとか、塩による環境問題とか、分野にとらわれないいろいろなトピックが扱われるのだけど、濃淡ははっきりとついていて、基本的には塩業、塩を作る工業的な方法についての教科書であった。
工業の部分もその他の部分にも知らなかったことが多く書かれていてとても面白い。塩資源のうち岩塩からくる部分と海水からくる部分ではどちらの比率が多いのか? という部分では、事実が(といっても2003年の本なので今もそうであるかはわからないが)僕がなんとなくそうだろうと思っていたのとは逆だったのでこれもびっくりした。
あとは、塩と健康について、世間で言われている塩の悪影響にたいしてちょっと反論している部分があって、塩を立場上擁護しているひとというものは生まれて初めて見たので面白かった。読書感想文とかパチンコを立場上擁護しなければいけないひとはたくさん見るが、塩の味方というのはなかなか珍しい。
さらに最後の部分に駆け足で書かれている、塩資源をエネルギー資源として使うふたつの方法はどちらもはじめて知ったことだったので良かった。「濃度差発電」「ソーラー・ポンド」どちらもちょっとまだ理解できてはいないのですけれど、今回はこのへんにしておいて、また人生のどこかで出会ったらそのときは理解できるまで頑張ってみよう。