vewn

 

 インターネットで、どこか深遠なアニメを観ましょう。

 

 このたった1分のクリップのなかでは、マスクをかぶった犬がたどった数奇な運命を見ることができます。犬は、マスクをかぶり、そのことによってなぜか家の前に駆けつけてきた警察官に逮捕されます。死刑。しかし、刑が執行される間際、執行人がマスクを外し、とある重大な事実に気づきます。犬は釈放され、手のなかには無為なマスクだけが残されるでしょう。

 

 視聴者のjustanotherreviewer氏は、これは法制度が十分な努力をしておらず、無実の人が長い年月を刑務所のなかで過ごし、しばしばそれに対して保証がされないことに関するコメンタリーであると思っています。

 

 「ピザ映画」と題された動画は、ピザを作りはじめたことによって人生が変わった女性の物語です。彼女の語る、勇気づけるようなスピーチの内容とは裏腹に、動画は暗く、暗黙の意味を含むようです。

 

 このクリップの難点は、スピーチが主題となっていることですが、利用できる字幕の言語に乏しいことです。英語を話されるスピードと同時に理解できない場合、ユーザーは、アニメーションと同時に音声の内容を理解するには、なんどもビデオの再生を止める必要があるでしょう。機械による日本語への字幕翻訳が待ち望まれます。

 

 「floatland」はビデオゲームの世界と現実の世界の交差を描いた作品です。vewnというチャンネルを通じて動画を配信しているクリエイター、ヴィクトリア・ヴィンセント氏はしばしば、行き場をなくした人間の倦怠感や落胆を、特徴的なアートワークで表現します。線画はノイズがかかっており、アングルは奇妙です。色使いは優しいようですが、独特の感覚を表現しています。カメラアングルは、あるシーンでは妥当であるように見えますが、その他のシーンでは異様です。

 

 生き生きとしたブラス・ナンバーではじまり、合間には咆哮が聞こえる「cat city」はvewnの投稿のなかでももっとも人気のある動画のひとつであり、このたった3分間にこれまで330万人もの視線が注がれました。家出猫のストーリーは単純ですが、一筋縄ではいかない謎を私たちに投げかけます。どうして彼あるいは彼女はひとり立ちすることになったのか? 聞こえてきた叫びはなにを意味していたのか? 家に戻ることになったことは、家出猫にとっての敗北なのか?

 

 最後に大作を紹介してこの大事業から離れることにしましょう。大作と言っても、3分31秒ですが。

 

 「dead end」はしかし、大作という呼び名に恥じない密度を持った重厚な作品であり、なかには人生の様々なテーマが反映されています。この動画のポイントはなんなのか、見るひとはそれぞれの答えを探すでしょう。この動画で描かれている人物に共感ができるかどうかとは関係がなく。まぎれもなくこれは、ひとつの哲学的難問なのです。