「ドラクエⅤ合わせて100本!」動画がすごかった

 

 最近一番印象に残ったコンテンツがこちら。

 

 スーパーファミコン版の「ドラゴンクエストⅤ」、中古カセットを100本集めて、所有者がどんなプレイをしていたのかのぞき見してみるという動画でした。

 

 最近は中古ゲームは店側でデータをきれいに消していることも多いのかもしれないが、昔は残っているほうが当たり前で、前の所有者のセーブデータの世界を、ちょっとの背徳感を感じながらさまよったおぼえがあるかたも多いのではないでしょうか。さまよっているうちにわずかに愛着がわいてしまって、自分が遊ぶ用にデータを消すときにちょっと悪いなって気になっちゃったり。

 

 ストーリーはどこまで進んでいるのか、どんな仲間モンスターを仲間にしているのか、子供にはなんて名前をつけたのか、そしてなにより、ビアンカとフローラ、どちらにプロポーズしたのか。

 ……ドラクエ5は、データとして残る部分にプレイヤーのパーソナリティが出る要素が多く、見どころが豊富。そのひとがだれなのかについてはまったくわからないのに、そのひとがどんなひとなのかについてはなんとなくわかってしまう。セーブデータって不思議ですね。

 

 結婚前夜サラボナのデータを残しておいて、起動した瞬間「愛の旋律」が流れるところは、ドラクエ5ファン的には「わかる…」となったし、クリア後のデータでちゃんと結婚相手のレベルが上がっていて(あ、家族で魔王を倒したんだな…)とわかるデータを見るとほっこりしてしまう。

 ドラクエ5は仲間モンスターが強いのと、結婚相手がストーリーの都合で離脱している期間が長いので、効率を追求すると結婚相手はクリアパーティーからいなくなっちゃいがちなんですよね。

 

 娘に選ばなかったほうの女の名前をつけていたサイコパス主人公が出てくる場面では笑ってしまった。

 

 もし、この動画を最初の5分でも見てみたら、いちばん気になるのはドラクエ5がどうこうというよりは、どこのだれがこの動画を作っているんだ、というところでしょう。いわゆるYouTuberとも、またニコニコの動画投稿者とも違った、しいていうならケーブルテレビのサブカルドキュメンタリー番組のような文脈で動画は作られていて、びっくりするくらい手が込んでいる。

 

 企画はニッチで面白いし、ナレーションの声も良いし、動画演出も本当に手間と時間がかかっている。画の量だけ単純に比べてみてもすごすぎる。物撮りとか撮影背景とかの細かい部分も気合が入っている。ギャグとかのテイストやセンスにはちょっと時代を感じるけど、それが逆にいまは物珍しくて良い。しかも生配信では顔出しまでやっていて、これだけ作ってさらに演者としての見られる自分まで用意しているのはほんとうにすごい。

 

 「これからクオリティは徐々に落としていくつもり」と言っていたけれど、この雰囲気では言うほどは落ちなさそうだ。

 

 ひさびさに化け物クリエイターの作品がみれて良かった。まだふさわしい数の登録者はいないようなので、興味をひかれた方はぜひ見るといいとおもいます。