AGAIN。
狂喜する声が満ち溢れていた
おなじ曲ではあるが、一日目と違って始まりかたも登場の位置も違っていた。2日でひとつのライブ、といった言われかたはずっとされていたけれど、開幕からその言葉の意味をかみしめさせられる。スタジアムは熱に冒される。
特別ゲストその1
本間昭光登場にも、会場は昨日ほど盛り上がっていないように思われた。おそらく、観客のうちのけっこうな割合が2日間通しで来ているのでしょう。本間昭光を交えたミュージックアワー特別メドレーで特筆すべきは、本間昭光のピアノでヴォイスのイントロが流れたところだった。「イントロが流れた瞬間手が自然と祈りの形になってしまった…」と、同行人に話したら「え、嘘私も」と言われてびっくりしてしまった。そんなこともあるんですね。
瞳の奥をのぞかせて
最近のポルノグラフィティのライブでは、暗転中に小鳥のさえずりが聞こえると、昭仁の弾き語りコーナーが始まる、という流れが定番になっている。演出としてはなんともいえないダサさがあるが、それも今のポルノグラフィティのかっこよさだ。
昭仁が告げた曲名は「瞳の奥をのぞかせて」。いいけど、それを弾き語りでやっても……?というような気持ちになったことを白状しないといけない。一番が終わって、ついにその瞬間がやってきた。歓声が上がるまで気づかなかった。なにが起こってるんだろうとステージに目を凝らしたら、なんか、金髪の人が弾き語っている昭仁に近づいている。誰? 手にはなにか長いものを持っている、……弓じゃん、嘘でしょ。
そしてNAOTOのヴァイオリンで「瞳の奥をのぞかせて」のリフレインが始まったが世界で一番かっこよかった。
ウェンディの薄い文字
言葉にならない。助けてくれ。
NAOTO Strings
そのあとはけっこうな人数の弦楽隊が参加して、いろいろなシングル曲をやっていた。1日目と比べて脇役的なチョイスだったのが心憎い。とくにリンク、ヒトリノ夜は美しかった。やっぱりミュージシャンが豪華だと音響のよくなさを恨んでしまうけど、これもこれで楽しむべきですよね。もう、こんな文化祭のステージみたいな音でポルノを聞ける機会なんてすくなくともあと10年はないのでしょうから。晴一は自分たちのことを、文化祭の部活から地続きのバンドだと語っていた。
Nang-Chang
ライラのソロで音が出ないというハプニングに爆笑した。
今日の日に感謝を込めて
エンディングのさらにあと、ステージにビール売りのお姉さんが現れて、ふたりの20周年を祝う一杯が注がれた。観客の目にはっきり見えるように、という配慮なのかジョッキはかなり大きかった。
面白かったのが、ふたりのビールの飲みかたの対照。昭仁は早々に、「全部飲み干す」モードに移行し(ジョッキを全部飲み干すという決意をした人間には、そうとわかる覚悟の表情が浮かぶ。僕は寮でその表情をさんざん見てきた。まさか昭仁のその表情を見れるなんて。)、グラスをあけたのに対し、晴一はおいしく飲める範囲でだけ飲んで、残ったぶんはそのままにして舞台袖に帰っていった。
自分でも言っていたように、昭仁はちょっとドライなところがあって、逆にそれだからこそ、多くのファンを持つミュージシャンとしてふさわしい、脚光を浴びる振る舞いみたいなものを衒うことなくできる、というイメージがある。晴一は逆で、根っこのところが繊細でウェットな感じがあって、20周年という晴れ舞台のビールを、ステージの上でゆっくり味わっていたように見えた。
ふたりがかえっていって、本当の本当にライブが終わったステージの上に、2杯のジョッキ――ひとつは空で、ひとつはまだちょっとある――が残っているのを見て、ポルノグラフィティだ……、としみじみ感じた。