トマーティン

 

 これまではあまり味なんて気にしたことがなかったけれど、僕は大酒のみなので、やっぱり味を楽しみながら飲むほうがいいような気がしてきた。なんというか、お酒を飲める量は人生で決まっているといううわさもあるし、お酒のいろいろな要素のうち味を楽しめないのはちょっともったいないように思う。

 

 ということでとりあえず図書館でウィスキーの教科書を借りました。ブレンデッド(いくつかの蒸留所で作られたお酒を混ぜて作るウィスキー)の本とシングルモルト(混ぜずにひとつの蒸留所で作ったものを詰めるウィスキー)の本があって、ブレンデッドの本を読み終わって、これからシングルモルトも読むぜ、というモチベーションが沸いていた。そんな時期にちょうど、いつも一緒にウィスキーを飲んでいた友達と飲む機会があったので、慣れ親しんだものではなく、ちょっと今まで飲んだことのない銘柄を買ってみることにした。

 

 手元の教科書によると「香りは麦芽、ハーブ、ユーカリ油。加水をすると煮詰めたリンゴ……。味はドライだがバランスが取れている。ナッティ。後口は上品な塩せんべい」と書かれている。なんのことかよくわからないけれど、そう書いてあるのならそうなんだろう。たしかにハーブのようなにおいがしないでもないような気がする。

 

 自分の言葉で書くならば、僕やそのときの友人は、普段はタリスカーとかハイランドパークのようなスモーキーなウィスキーを好んでいて、逆に甘いような感じのあるウィスキーは(たとえば、シーバス・リーガルとか)それはそれで僕は飲むんだけど、そこまで求めているものではなかったりする。トマーティンは、いつも飲んでいるお酒のようなスモーキーさが、そこまで主張が強い感じではなくあって、甘みはなく、きりっとしていた。飲んだあとは目を見合わせて、「結構いいじゃん」という雰囲気になった。

 

 水を加えるとさらに角が取れておいしくて、僕は最初蛇口の操作をミスって大量に水を入れてしまったんだけど、それでも全然味が崩れてなくておいしかった。トワイスアップ(ウィスキーと水を1:1で混ぜて飲む飲みかたのこと)とは言わずもっと薄めてもおいしいかもしれない。でもひょっとしたらロックではなくて冷たくないほうがおいしいかも。炭酸で割ってもめちゃくちゃ良いと思う。

 

 古酒ではないので味が若いという意見もあったけど、これで3000円しないくらいなのだからかなりお得なお酒という気になりました。やっぱり味は気にして飲むほうがいいね!