ある天文学者の恋文 The Correspondence

 

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 恋人が死ぬよりももっとつらいことがあるとすれば、死んだ恋人が、こちらからは返信することのできないメッセージをずっと送り続けてくることではないでしょうか? 自分にとって大切なひとをなくした経験のあるかたならなんとなくうなずいてくれるんじゃないかと思うけど、ひとが死んだあと、そのひとからのメッセージを受けとることって、うれしいことでもあるけれど、しんどいことでもあるんですよね。

 

 主人公はスタントマンでアクションをするアルバイトをしながら、天文学を専攻している大学院生のエイミー。指導教官でもあるエドと恋人どうしになっている(不倫のようにもみえるが、作中の描写からは不倫だとは断言できない)。エドは死んでしまい、エイミーはそのあとも、メールやCDの入った小包など、いろいろな方法でエドからのメッセージを受けとりつづける。エドは言う。もし、自分の死後も呼びかけ続けるこのメッセージが迷惑なら、「AmyAmyAmy…」と11回続けたメールを送ってくれ、と。

 

ある日、エドが言いました

"星のことばかり考えて生きていると――

いつしか頭の中に星が誕生するんだよ"

 爆発してなくなったあとも、地球からは光りつづけているように見える超新星。それからインスピレーションを受けたと思われるこの映画は、ロマンス映画というよりは、ひとがひとの死を受けとめる、そのときの過程を描いたもののように見える。

 

 死者からのメッセージを受けとり、それをどのように受け入れるべきか悩み、混乱し、途中からは逆に探し求めて追いかけるようになるエイミーの憔悴は切実だった。死者からのメッセージはうれしいけれど、それでも来るたびに消耗するんですよ。リアルがあった。

 

医者は細部を凝視する

悪い箇所があれば直し、痛みを取り除く

友人でも他人でも

 お話の基本コンセプトはとても素晴らしく、正直これを思いついた時点で勝ちは決まった感じはあるが、それに加えて画も綺麗だし(とくに、はじめて島を訪れたエイミーの背後で船が去っていく画は印象に残っている)、出現頻度は控えめだけど音楽もいいし、主演の演技もヤバかった。受け取ったビデオメッセージを見るときの表情とかすごすぎる。

 

 なんというか、死んだはずの恋人からなぜか送られてくるメッセージを追い求めるアドベンチャーゲームの劇場版のようにも見える。送られてくるメッセージがいい塩梅に文学的なのもそれに輪をかけていますね。エイミーの母との確執や、スタントの仕事など、それぞれの小道具に物語構成上の機能が与えられていて、お話のつながった時の快感もたっぷり味わえる。とはいえ緻密にしきらず、余したところはエモさで突っ切れ!みたいな思い切りの良さもあるので、実写版イタリアの新海誠秒速5センチメートル」と言ってもいいような感じの映画じゃないでしょうか。面白かった。

 

 ただ、大学教授の男性と教え子の女性の恋、という構図にはとくにエクスキューズがあるわけではないので、ここが嫌な人は無理してみるような映画ではない、という気はする。