すでに開幕している20/21シーズンのリーグ・アンを見た。ついこのあいだまでチャンピオンズリーグを戦っていたパリ・サンジェルマンは、チーム内でコロナウイルスが大流行中。ネイマール、ムバッペ、ナバス、ディ・マリア、イカルディ、マルキーニョスと、ふつうにしていればスタメンになるメンツがガンガン陽性となっているという異常事態であった。
パリ・サンジェルマンというとどうしてもスター選手の競演が楽しめる、いわゆる銀河系軍団なチームというイメージが強いが、スタメンを見るかぎり、そういったイメージとは違ったチームとなっている。
変わり果てた姿になってしまった王者を迎え撃つのはRCランス。ランスというと、スタッド・ランスというチームが有名だが、そこが本拠地にしているのとはまた別の、同名のランスという土地にあるクラブらしい。
ベルギーとの国境に近い街で、歴史上のある時期にスペイン領だったこともあることから赤・黄色をユニフォームカラーにしているらしい。ズボンは黒色で、赤黄黒の危険色がピッチに映える綺麗なチームだった。労働者階級とつながりの深いクラブで、激しく削るプレーをする選手が好まれているらしい。
育成にも定評があって、いちばん有名なのがフランス代表でレアル・マドリー所属のヴァラン選手がこちらの下部組織出身らしい。あとはセルジュ・オーリエ選手も。
非常に素敵なクラブだ、ぜひいけすかないパリ・サンジェルマンを叩きのめしてほしいと思った。
試合はそのとおりになった。じつは観てる途中で、「この選手いいな」とおもってなんとなく検索した結果、気の利くグーグルさんが検索窓のプルダウンに試合の結果を表示してくれたので、ネタバレを知った状態で見ることになったのだけど、なかなか見ごたえのある良い試合でした。
パリはやっぱり、ファンタスティックな前線のアタッカーがいなくても、……いないせいでなお際立つのか、やっぱりポゼッションがお上手ですね。失点したところではミスが出てしまったのだけど、とくに前半の半ば以降は、相手のミドルゾーンで、パスコースを作りながらずっとボールを保持、攻撃をカウンターにつながらない形で毎回終わらせていたし、奪われちゃった場合もゲーゲンプレスが機能していた。やはり良いチームだ。
良いチームではあったが、強いチームではなかった。……のはやはり、コロナで欠いていた値千金のアタッカーたちなのでしょう。ぎゃくにランスは、これといった良い形を継続して作れてはおらず、アタッカーもめちゃくちゃ良いわけではなかったのだけど、ビルドアップのミスを拾う形で1点を得てそれを守り切った。
個人的に気になったのはRCランスのクレマン・ミシュランという選手。微妙にひ弱そうな雰囲気ながら、ベルナトやクルザワと激しく肉弾戦をしていて、攻撃のときには微妙に精度の低い仕掛けとクロスで、守備のときは相手を簡単な状況にはさせないシビアなプレーでそれぞれ目立っていた。試合終了の笛が吹かれるちょっとまえのピンチをタックルでしのいだのも、最後に笛が吹かれたときにボールをコントロールしていたのも彼だった。