ポストの根もとの土に
眉毛を描くペンとあわせて
埋められた愛の結晶は
そうなっても更新がなく
ひとときの旅行の心が
知らずに上を通りすぎるだけ
魔法の解けたじょうろを
冷たい朝顔の水でいっぱいにして
乳児に持たせて
自由にしてねと声をかけても
雨の日の群衆の
悪気のない悪戯が
会える日を遠く遅らせる
距離に立ち向かって
おたがいを想いあうことの
なにかが恐ろしい
灰皿のようになったポストを
羽のようになった右手で拭き
複数形の一人称で
山に向かって叫んでみても!
いまひとときだけは
忘れなさいという導師の導きだけが
オフラインになっても
髪をかきあげる
薬指の周りに居座り続ける