2021年、元旦にはこれを聴こう

 

 ステクロヴァータ*1は、1999年デビューのロシアのボーイズ・ボーカル・グループである。こちらのみすぼらしい曲とダンス、ミュージックビデオが爆裂にウケて、インターネットのカルト・ミームとなった。

 この曲、「Новый год」は新年の曲なので、2020年となったいまでも1月1日になると世界中で(とくにロシア語圏を中心に)よく聴かれている。僕ももちろん聴いた。

 

 このなんとも言えない気分になるミュージックビデオをパロディする、という活動がさまざまな国の男性4人組によって行われていて、YouTubeでもそういう動画をたくさん見ることができる。

 悪い意味でアンニュイな表情や、やらされている感ばかりしかしないダンス、そして質の低い背景をどこまで本家に寄せられるか、というのがおもな競いポイントであり、いろいろな動画でいろいろな工夫がみられて楽しい。

 

 現状もっとも高い評価を得ているのはこちらのラトビア人男性4人組によるパフォーマンスである。似ているやつをクローゼットから探してきたんだろうけど、べつに買ってまではしてないんだろうな、という感じの服装の寄せかたがラブリーだ。

 4人ともハイ・クオリティだが、とくに左から2番目のスキンヘッドヒゲの彼は口寄せでもしたのかって思うくらい憑いていて笑える。

 

 こちらはブラジル人によるパロディーだが、どうしても隠し切れないノリの良さや陽キャ感、リズム感覚、空耳による笑いの誘引、…などが足を引っ張って原曲とはまったくべつの試みになってしまっている。

 このような本分を外れた解釈も許容する懐の広さもこのミームの魅力と言えるのではないだろうか。

 

 日本人クリエイターとしては、バーチャルおばあちゃんがこちらのカバー作品を発表している。ぬいぐるみと歌う、口パクではなく見よう見まねの原曲歌詞を実際に重ねて歌う、といった特徴により、とても混乱した仕上がりになっているが、生まれからして混乱している曲なのでこういうのがちょうどいいのでしょう。

 

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 これを見たロシア人のコメントがこちら。この曲が日本でも愛されていることを喜んでいるようだ。

 

 昔の記事でも取り上げたが、初音ミクさんにもカバーされている。

 

ろうそくを点灯したとき 心が温まる
それってはお祝いの感じだろうか
街を遊ばれる風が僕にすぐ笑ってくる
巨大な時計 なくなるようだ

あけましておめでとう 夢は叶うように
あけましておめでとう 僕らの思いのに
あけましておめでとう 部屋を温めてて
あけましておめでとう 幸せになれ

 いつ見てもとても良い詩だ。末永く愛される曲であってほしい。

 

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*1:ロシア語ではСтекловата、グラスウール(ガラスでできた繊維素材)という意味らしい。