線路に沿って歩くのは、じつはそこまで簡単なことではない。僕は結構空間把握能力が低いのだけど、地図をいちいち見て歩くのを面倒くさがるところもあって、そういうときに線路に沿って歩くのは役に立つ。大まかに、そこに向かって歩いていけばよいという安心感が散歩に伴っているのは心地よい。
個人的な感覚としては、こういう、線路に並走してあるだけでその両脇には何もない、純粋な道がかなり好きだったりする。今回は電車を撮っている方がいたけれど、基本的には移動している真っ最中のひとしか通らないので、皆前しか見ていない。そのピュアさがよい。
しかしそういった線路と並走した道は長くは続かず、なんらかの都合でどこかで途切れることになりがちである。線路に沿って歩くためにいちど線路から離れなければならなくなる、というときがくる。いままでの甘えがふっと消えてなくなる、緊張の瞬間である。
今回の別れは線路をくぐるこんな感じの抜け道だった。制限高1.7mとはとてもシビアである。こんなにシビアな制限高ははじめて見たかもしれない。僕は身長が192cmあり、高校時代はセンターバックをやっていたのでけっこう腰をかがめないとくぐり抜けられなかった。
くぐり抜けたあたりはちょうど高地と低地の境目となっていて、線路の進む方向へ行くには街中の階段をいくつか探して登る必要があった。その過程で線路からはけっこう離れてしまい、ひょっとしたら迷うかな…、と思っていた矢先、
手作り感のある案内標識があったので、無事に線路沿いに戻ることができた。さっきまでは見上げていた線路を、今度は見降ろす形になる。線路に沿って散歩をすると、建造物に覆い隠されがちな東京の地形を足と目で実感できたりするのがうれしいですね。
そのあとはいくつかものを見た。
1.ガレージセールIN仙川
パンクなたたずまいのお店だったので気になって近寄ってしまった。出入口は締め切られていて、その近くの壁に「Yes We Are OPEN!!」とペンキで書かれていた。ペンキでそういうことが書いてあっても信じることは原理的にできないとは思うのだけど、いちおう開けてみたら開いてなかで営業が行われている可能性もあるとは思ったのでドアノブを回していたのだけれど、ふつうに閉まっていた。
2.東京アートミュージアム(TAM)
東京アートミュージアムという小さな美術館が近くにあったので行ってみた。ひたすら月と植物が描かれていた。建物自体もコンクリート打ちっぱなしのなかを印象的に階段が空間を横切っていて良かった。安藤忠雄さんの設計らしいですね。近くには似たようなテイストの建物が密集していたので、ここは昔、安藤忠雄が治めていた土地だったのかもしれない。
3.ミニファミマ
自動スイーツ販売機とコーヒー販売カウンターだけが置かれた最小限のファミマ。かわいい。休憩スペースは思い切ったディスタンス施策がされていて、椅子にあぶれた人達が一か所に集まって密を形成していた。