1曲目 邪険にしないで
良くも悪くも特徴的なキャラクター性と歌い方をしているので、歌ってみてほしい曲を選ぶのはたやすい。1曲目はこれで決まりだろう。全編広島弁で書かれている、ややリアルな男の目線に沿って書かれた純血のラブソングで、そのままだと微妙に気持ち悪いところはあるものの、これを東條さんが歌ってるって再解釈すると、なかなか味があって良いのではないでしょうか。
「好きか嫌いかで言うたら好きよ」くらいの言いかたの温度感がとてもそれっぽい。
2曲目 Free and Freedom
ポルノグラフィティ名物の、意図のよくわからない英語タイトル曲である。みんなの気持ちの入った物語からすこし浮いたところで、ひとをけしかけたりしてフリーマンしていた初期東條希さんのテーマソングとしてどうでしょうか。
もちろん、人間は、――とくに物語のなかに生きるキャラクターは、ずっと展開から自由でいることはできない。そこに向き合いかけるところまで描いている曲なのがぴったりである。
3曲目 惑星キミ
やっぱり東條さんにはこういうけったいな曲が似合っていて、ポルノグラフィティカバーEPリリースの際には3曲目くらいまでは焦らしてふざけていてほしい。この惑星キミは1番と2番で大胆にアレンジを変えて(1番は原作風味、2番は唐突にブラスセッション風になるというのはどうでしょう)、本人はオートチューンをぎらぎらに効かせた、もはやだれが歌ってもおなじになっているような感じで歌ってほしい。
4曲目 元素L
そしてこうしてもらおう。この曲の並びが本当に好きだし、この「元素L」という曲は僕に限らずほとんどのポルノグラフィティファンが好きなんですね。
東條希というキャラは、ラブライブファンにとってはけっこう解釈に幅のあるキャラクターだと思うのですが、個人的な見方を許していただければ、ユーモアと人懐っこさの裏側に自分を巧妙に隠しているひとなのだと思う。ひとと仲良くなることさえ、防御技のように使ってしまえる人間。
そんな人が、こういうまっすぐな、まっすぐに恥じらっているけれど真剣な(広い意味での)愛の歌を歌うのはとても良いことだ。
5曲目 We Love Us
ここまでくればエピローグ。これも余裕を持ったジョークのような、東條さんにぴったりの曲なのだけど、ここで繰りかえすと意味は違ってくる。きっとここでは、着実なしあわせの歌のなかに、ひとりの人間の心の結び目のようなものが見えてくると思う。結び目はほどかれる必要はなく、なにも起きない日々のちょっとした薬味になる。そういう余生を、過ごしてほしいですね。
次は小泉花陽さんを特集します。