泣くことはないだろうに(前編)

 

f:id:kageboushi99m2:20200304023900p:plain

 ガールズ&パンツァーの最新作がついに発売された。ので、最近はずっとそれを見て、ずっと泣いている。具体的なネタバレがない、ややロジカルな感想はとある回「さらに良くして、もういちど~「ガールズ&パンツァー 最終章第2話」~ - タイドプールにとり残されて」で書いたので今回はどちらかというとスピリチュアルな感想を書きたいと思う。

 

オープニング曲

 キャラクターがこれだけ莫大な数になっているのに全員出すのはかっこいい。これは本編の縮図で、それぞれの登場人物が自分のわずかな出番でかっこよくアピールをする、「爆笑レッドカーペット」みたいなアニメなんですよね。

 

オープニングの逸見エリカ

 最近ずっとそうなんだけど、逸見エリカさんを見かけるとちょっと笑ったあと、なぜか泣いてしまう。逸見エリカ…。

 

「こちら安藤隊。ARLに射撃求む」

 涙が出てくる。押田と安藤……。

 

大洗の対BC仲間割れ誘発戦法

 せっかく長年の確執を乗り越えて新しく強いチームを作るために和解して、それで初陣を迎えたBC自由学園に対してそんな戦いかたありますか? これはまじで許せない。対戦相手をなんだと思ってるんだ。人間をなんだと思ってるんだ。俺はここで大洗アンチになりました。

 ……後半のvs知波単もそうなのだけど、ガールズ&パンツァー二周目としての最終章は主人公たちをある意味ヒールの立ち位置で使って、対戦相手の他校に視点を置き、その彼女らの物語を引き出すような形で作られている。これはTVシリーズ&劇場版での魅力的なキャラ描写、そしてそれに呼応したFandomの、広くスポットライトを当てる盛り上がりあってこそのことでしょう。稀有なコンテンツだ。

 

BC自由の仲間割れ

 安藤と押田が銃を向けあって、戦っているのを見て、悲しくもうれしくて泣いてしまった。

 

マリー隊長の仲裁

 これは美しいシーケンスですね。ガールズ&パンツァーの世界では、選手たちはそのキャラに引きずられてけっこう致命的なミスをしてしまう、というか、そのミスまで含めてひとつのキャラクターとして機能的に物語に組み込まれているのだけど、同時に、そのミスを織り込んでいる、寛大なボスや同僚の姿が描かれるのが通例となっている。この優しい世界がいいですね。

 報告を受けたあと、マリーさんが、「なぜ仲間を攻撃しているの!」なんて部下を問いただすことはせず、まず自分で動いたところが神々しくて泣いてしまった。

 

ボカージュを脱出して、…仕切り直しだ!

 仲間割れで大損害を食らって手勢は心もとないのに、このときが一番強く見えるBC自由学園戦車道チーム。泣ける。

 

玉ねぎの歌

 ここから先のことを形容できる言葉が僕にはない。試合の大勢は決しているのに、だけどもなぜか誇らしく見える撤退戦。切なくて、勇敢。

 行動不能になったあと、手信号で合図を送る押田くん。隊長車を助けて散る安藤くん。それでも勝負を投げずに、戦いの局面を作るマリー隊長。合唱から独唱へうつりかわるところでなんどもなんども泣いてしまう。