2017年3月14日

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 iphoneの写真アプリにはこのように、過去の特定の日付をピックアップしてその日に撮った写真を見返してみなよ、とサジェストしてくれる機能がある。

 今日見つけたのは2017年3月14日の写真だった。この自転車と海を思い出すのにそう時間はかからなかった。大学のサークル同期と行った卒業旅行の最終日の日付だ。写真ってすごくて、昔のことを思い出させてくれる。

 

f:id:kageboushi99m2:20200116031958j:plain 場所は尾道。レンタサイクルを借りてしまなみ海道を走る。その出発地点の桟道で撮った写真で、個人的にちょっと気にいっている。卒業旅行とはいっても僕は留年していたのでこの時点ではまだ3年生だったのだが。

 

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 僕らの代はそこまで仲が良かったわけではないのだけれど、こういう集まりへの出席率は高かった。深い人間関係があるわけではないが、基本的な信頼感と安心感はあって、それはそれで得難い友人たちだった。しまなみ海道サイクリングも、サイクリングというアクティビティの性質上そんなに複雑な絡みはできない。車道の左端のひとり分のレーンを、適度な距離を置いて一列になって走っていく。ただ同期と走るだけである。たまに追い抜いたり追い抜かれたりする。

 

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 因島まで行ったあと、船で尾道まで戻ってくる。じつは食事のタイミングをミスっていて、半日間のサイクリングのあいだ食べれたのはお土産屋さんのみかんとファミチキだけだったような記憶がある。しかしあのとき、腹ペコになってやっと見つけたファミマで食べたファミチキはとてもおいしかった。……ような気がする。

 尾道尾道ラーメンを手短に食べたあと、同期と別れた。それぞれ、それぞれの次の目的地へ、それぞれの交通手段で帰っていった。現地集合、現地解散のドライでキュートな卒業旅行だった。

 

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 そのあと僕はもう一度、こんどはバスでしまなみ海道に戻る。今度は因島をこえてさらに先へ。今治に到着する。人生で初めて踏んだ四国の土地だった。

 瀬戸内の、このようなメカニカルでインダストリアルな地中海の光景はとても好きで、山陽本線を電車旅しているときはいつも窓に釘付けになってしまうのだけど、四国側から見る瀬戸内海も同様にメカニカルでインダストリアルだった。好きです。

 

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 卒業旅行が終わったあとも僕は当分自分の旅行を続ける予定だった。今治駅から2.5kmほど歩いたところにあるフジグラン今治という商業施設にネットカフェがあったのでそこに宿泊する。

 そのころにはもうあたりは真っ暗で、途中にあった今治城が輝いていた。基本的には真っ暗だったのだけど、ほかにも輝いている建物があって、それがかなり下品に光っていて面白かったので写真に撮ってみようと思ったのだけど、結局露光が上手くいかなくて撮れなかった。

 けれどあやしく輝いている謎のビルがあったことはいまでも思い出せる。写真ってすごくて、結局撮らなかった場合でも、そのときのことをちゃんと思い出させてくれるのである。