世界の終わり集

 

 みなさんは世界の終わりが好きですか? 僕は世界の終わりが大好きです。僕の好きな世界の終わりをいくつか紹介したい。

 

The End of the World

The End of the World

 

 ところで、みなさんの世界の終わりはどこから? 世界の終わり愛好症の発症経路はいくつか解明されているものがあるが、僕の場合は那須正幹さんの「The End of the World」という短編小説でした。那須正幹さんというのは「ズッコケ三人組」シリーズの作者として有名なかたですね。

 核戦争後の小さな家族用シェルター。ずっと沈黙を守っていた無線機からある日突然女の子の声が聞こえて……、といういま思うとシンプルなお話なのだけど、だからこそ鮮烈なイメージが残る。

 性癖を作られてしまった、個人的に思い出深い「隠れた傑作」ですね。

 

 フランスの作曲家オリヴィエ・メシアンの「世界の終わりのための四重奏曲」*1は、第二次世界大戦中、ナチスドイツの捕虜収容所で作曲され、はじめて演奏された。

 ピアノ、クラリネット、チェロ、ヴァイオリンというやや珍しい組み合わせは、ぐうぜんその奏者たちがおなじ収容所に収容されていたことからくるものらしい。

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 全2巻 完結セット (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 全2巻 完結セット (新潮文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/11/05
  • メディア: 文庫
 

 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』はタイトルが印象的なのでひょっとしたら、『ノルウェイの森』の次くらいに有名な村上春樹の小説なのかもしれない。僕もタイトルに惹かれて、高校1年生の初夏に読んだ。

 そのころがちょうど、僕の人生で初めて「文学」というジャンルの小説を読み始めたころだった。「これから読書は楽しみではなく、ハードな『鍛錬』の時間になるだろう」と覚悟しつつ読んでいたが、死ぬほどスリリングで楽しくて面白かったので逆にがっかりしてしまった。 

 

 「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という、ふたつのお話を交互に読んでいく構成になっていて、「世界の終わり」には壁に囲まれた街が登場する。

 

 カリフォルニアとメキシコを合成させた「かばん語」の固有名詞を持つCalexicoの「End of the World with You」は世界の終わりのもつ荒涼として晴れやかなイメージをとらえた、秀逸な世界の終わりソングである。

 広い世界にひとりでしずかに立っていて、そしてあるとき歩き出した、みたいな情感のあるイントロが良いですね。

 

 よければ、みなさんのおすすめ世界の終わりを教えてください。

*1:「世の終わりのための四重奏曲」というのが定訳だが、今回は記事にあわせておきます。ちなみに、直訳すると「時の終わりのための~」というふうになる。