「CAOL ILA」と書いて「カリラ」と読む。まるでファッションブランドのように初見殺しの読みかたをするこのウィスキーがどうしても飲んでみたかった。飲んでみたい飲んでみたい飲んでみたい。まあでも高いしな…。そう思いながらふつうの安ウィスキーを飲んでいたところ、酔っぱらいすぎ、朝起きてパソコンをつけたらアマゾンから注文承りましたのメールが届いていた。
本当に欲しい結果を、意思で作り出す。これが引き寄せの法則の力である。
まあ買っちゃったものはしかたがない。ポジティブな気持ちで開封すると、いきなり「CAOL ILA」の文字が美しい。数あるウィスキーのなかでも、個人的には2番目に名前が好き*1である。ウィスキー、とくにスコッチのシングルモルトはゲール語で名づけられているケースが多く、たとえば、ラガヴーリンとかグレンモーレンジィとかアバフェルディのような、ちょっと重くて厳つい語感になっていることが多いのだが、そのなかでこの「カリラ」のシンプルさと優雅さ、すごくないですか? 「il y a」と書いて「イリヤ」と読むときとおなじ美しさがある。
もし将来能力バトル漫画を描くことがあって、能力名を酒の名前で統一するとしたら、ラスボスの側近の美形の洗脳能力者(洗脳能力なので戦闘能力はそこまでないのだけど、最終局面では主君への忠誠心から捨て身な戦いかたを見せる)の能力名にしたい。
栓を抜いた瞬間、いわゆるせき薬と煙の強いにおいがする。こういうタイプのハードスタイルのウィスキーはじつはひさしぶりだぜ。けど飲んでみると、香りの印象よりも味は荒っぽくなく、むしろファーストタッチはちょっと甘い。そのあとはドライに切れてピーティーなあと味が残るんだけど、その間にもなんとなく上品なフルーツの風味がする。いくらなんでも悪名轟くアイラモルトの仲間なのでもうちょい暴力的な味がするものだと思っていたら、暴力的なテイストはありつつもかなり気高い感じになっている。おいしいし、美しい。
その日はハディントンハウスが近くのスーパーでたたき売りしていたのでこれも飲んだ。さすがにカリラと比べることはできないが、これはこれでよいウィスキーである。なぜ750円で売っているのかがいまだによくわからない*2。