医者でミュージシャン、Henrik Widegren

 

医療やヘルスケアに関する曲を世界は必要としているだろうか? たぶんそんなことはないだろう。でもとにかく、私はそういう曲を書く

Henrik Widegren

 

 Henrik Widegrenは耳鼻咽喉科の医者であり、医療にまつわる曲を作るミュージシャンである。とはいっても、国家試験で出てくる内容を語呂合わせで覚える、というようなものではない。

 

 

If you google “cough” and “diagnosis”
You have got tuberculosis
And if you google “fever and red”
You’ve got Ebola and soon will be dead

 

「咳」「病名」でググれば

お前は結核だ、と言われる

そして「熱と発赤」でググれば

お前はエボラ出血熱、すぐ死ぬ

 まずはこの曲「絶対症状でググるな」は、医者目線のちょっとちくりとした風刺の歌である。医者にかかるまえになんとなく自分の症状をグーグルで調べてしまって、自分を深刻な病気だと勘違いしてしまうという、医療にまつわるあるあるネタをユーモラスに歌っている。

 


 It's Always Good to Have a Stethoscope(聴診器はよいものだ)では以下のように、聴診器をもっているとこんなにいいことがある!という医者の本音が、ゴキゲンなトラックに乗せて歌われている。

 

You can listen to the beating of the heart
You can hear all the murmurs of the valves
You can hear the air in the lungs
And all the bubbly stomach sounds
It’s always good to have a stethoscope

 

心臓の鼓動が聞こえる

弁膜のささやきが聞こえる

肺のなかの空気が聞こえる

そしてお腹の立てる陽気な音すべてが!

聴診器はよいものだ

 

A stethoscope, a stethoscope
It’s always good to have a stethoscope

 

聴診器! 聴診器!

聴診器はよいものだ!

 

 A Statistically Significant Love Song(統計的に有意ラブソング)。それぞれの曲もオリジナリティはないのだと思うが(べつに必要ない)、その分、オリジナリティを捨てたものだけが出せる暴力的な完成度に至っている。

 

Today. I found my love today
Everybody says they knew long ago
But I am not that way
I demand evidence before I say I know
Finally it came to me: My theory’s confirmed
In all my experiments I have seen a trend
The null hypothesis is not at all sustained
It’s very likely
That you are more than a friend

 

今日、今日僕は愛を見つけた

みんなは昔から知ってたっていうけど

僕は違うんだ

僕にはそのまえに証明が必要だ

そしてそれが得られた、僕の理論が確証された

全実験で同じ傾向がみられた

帰無仮説は完全に棄却された

君は友達以上だということが

とても確からし

 

I love you more than the median
I am certain cause the p-value is 0.01
Our love is blessed by a t-test
I can prove to you
I love you

 

君を愛している 中央値よりね

確信しているよ p値が0.01だから

僕らの愛は祝福されている t検定にね

君に証明できるよ

愛している

 ぎりぎり許せるくらい陳腐なポップさ。バズる覚悟ができていて潔い。どうなるかはわからないが、ひょっとしたらそのうちけっこう人気者になって、めざましテレビで取り上げられるくらいはあるかもしれない。

 

 公式チャンネルはこちら。ほかにもいくつかの医者ソングがアップロードされていて、驚くべきことにそのうちのいくつかには日本語字幕がついている。専門用語を除けばあまり難しい英語ではなく、発音もとても聞き取りやすいので、医学部を目指す高校生の英語の授業とかでも使えるのではないか。ここを見ている全国の英語の先生の皆さん、教材にいかかでしょうか?