ちょうど1か月くらいまえにノーベル文学賞の受賞者が発表された。いらないって言われたり選考委員がセクハラで訴えられたり、ニュースでは村上春樹に絡めてしか語られなかったりする散々な賞であるが、受賞者の一覧を眺めてみるとなかなか興味深い。
眺めてみるとなかなか興味深かったので、僕が本を読んだことがあるノーベル文学賞受賞者を数えつつ見てみることにする。僕はわりと文学、とくに海外文学に詳しいと自分で思っているのでそこそこのスコアを期待したい。
以下、受賞者一覧はウィキペディアのページからの丸貼り付けです。受賞者たちの身長が高くなっているのはご容赦ください。
1900年代
年 | 肖像 | 受賞者 | 国籍 | ジャンル | 備考 |
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1901年 | シュリ・プリュドム | フランス共和国 | 詩 | フランス人初の受賞者 初代受賞者 |
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1902年 | テオドール・モムゼン | ドイツ帝国 | 歴史 | ドイツ人初の受賞者 | |
1903年 | ビョルンスティエルネ・ビョルンソン | ノルウェー | 詩 | ノルウェー人初の受賞者 | |
1904年 | フレデリック・ミストラル | フランス共和国 | 詩 | フランス人として2人目の受賞者 プロヴァンス語での著作 ホセ・エチェガライ・イ・アイサギレと共に受賞 |
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ホセ・エチェガライ・イ・アイサギレ | スペイン王国 | 戯曲 | スペイン人初の受賞者 フレデリック・ミストラルと共に受賞 |
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1905年 | ヘンリク・シェンキェヴィチ | ポーランド | 小説 | ポーランド人初の受賞者 | |
1906年 | ジョズエ・カルドゥッチ | イタリア王国 | 詩 | イタリア人初の受賞者 | |
1907年 | ラドヤード・キップリング | イギリス | 小説 | イギリス人初の受賞者 ノーベル文学賞最年少受賞者(41歳) |
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1908年 | ルドルフ・クリストフ・オイケン | ドイツ帝国 | 哲学 | ドイツ人として2人目の受賞者 | |
1909年 | セルマ・ラーゲルレーヴ | スウェーデン | 小説 | スウェーデン人初の受賞者 女性初の受賞者 |
本当にぜんぜん知らない名前が並んでいてびびる。ノーベル賞はいちおう同時代的な賞なので、いま賞を与えた作家が果たして今後100年にわたって、世界中で読まれ続けるか、というのはブラックボックスになる。ここに並んでいるのも、「海外文学が好きかも…!」くらいの一般人がふつうに読むようなラインナップではないでしょう。
僕もまったく読んだことがなく、かろうじてキプリングのみ名前を知っている程度だった。キプリングくらいは読んだほうがいいのかもしれません。
調べてみたら、児童文学で知られる作家らしい。青い鳥文庫で本が出ているノーベル賞作家ってこの人くらいなのではないでしょうか。
あと気になったのが、1904年受賞のフレデリック・ミストラルさん。本人にゆかりがあるのかないのか、薔薇の品種の名前になっているらしいのだけど、フレデリック・ミストラルという名前の薔薇の名前になっている納得感すごくないか。
1910年代
年 | 肖像 | 受賞者 | 国籍 | ジャンル | 備考 |
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1910年 | パウル・フォン・ハイゼ | ドイツ帝国 | 小説 | ドイツ人として3人目の受賞者 | |
1911年 | モーリス・メーテルリンク | ベルギー | 戯曲・詩 | ベルギー人初の受賞者 フランス語での著作 |
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1912年 | ゲアハルト・ハウプトマン | ドイツ帝国 | 戯曲 | ||
1913年 | ラビンドラナート・タゴール | イギリス領インド帝国 | 詩 | インド人初の受賞者 アジア人初の受賞者 ベンガル語での著作 |
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1914年 | 受賞者なし | ||||
1915年 | ロマン・ロラン | フランス共和国 | 小説 | フランス人として3人目の受賞者 | |
1916年 | ヴェルネル・フォン・ヘイデンスタム | スウェーデン | 詩 | スウェーデン人として2人目の受賞者 ノーベル物理学賞など、他の賞が全て受賞者なしだった年の唯一の文学賞受賞者 |
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1917年 | カール・ギェレルプ | デンマーク | 詩 | ヘンリク・ポントピダンと共にデンマーク人初の受賞者 | |
ヘンリク・ポントピダン | デンマーク | 小説 | カール・ギェレルプと共にデンマーク人初の受賞者 | ||
1918年 | 受賞者なし | ||||
1919年 | カール・シュピッテラー | スイス | 詩 | スイス人初の受賞者 ドイツ語での著作 |
やっぱり知らない名前が並ぶが、一応読んでいる人もいる。ラビンドラナト・タゴールの詩集は読んだことがあり、個人的にも好きな詩人のひとりである。監獄実験で有名なフィリップ・ジンバルドーが書いた、人間の善と悪についての本があって、そこにタゴールの詩がエピグラフされていて、それが読もうと思ったきっかけでしたね。
メーテルリンクの扱いはちょっと難しいところがあり、そのいちばん有名な作品である「青い鳥」というお話に何らかの形で触れていないはずはない。ただまあ、メーテルリンクの作品として、そのままの形で読んだことはないのでここではノーカウントということにする。僕が実際に本を読んだことのあるノーベル文学賞作家は、いまのところ、合計1名となった。
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